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2007年08月22日
中華航空機の事故処理に見るPRのプロの技
那覇空港で炎上した中華航空機の事故処理を見ていると、PRのプロの仕事を感じます。
航空機の運用とはまったく違うところで、日本企業の危機管理で参考になるところがありますね。
(8/22/07付 asahi.comの記事)
asahi.comには、「中華航空機長ら、台湾で「英雄」扱い 政府から記念品」との記事が出ました。
那覇空港で炎上した中華航空機を操縦していた猶建国機長や客室乗務員たちは22日、総統府に招かれた。外遊中で不在の陳水扁総統に代わって会見した呂秀蓮副総統は、機長らを「(避難誘導で見せた)機知と態度をみんな学ぶべきだ。最高の敬意と感謝を伝えたい」と称賛、記念品のカップを贈った。
台湾に戻った猶機長らに対し、台湾では事故当事者としての責任を問う声より、無事に乗客全員を避難させた行動を評価する向きが強い。
背景には、台湾では90年代から中華航空による数百人単位の死者を出す大型航空事故が相次いでおり、社会全体が「事故慣れ」していることに加え、今回は一人も犠牲者を出さず、安心感が漂っているためだ。
また人々の関心を事故から「美談」に移したい中華航空の思惑もある。21日夜の会見では那覇から戻って会見室に現れた機長らに対し、中華航空の幹部は率先して拍手を送り、カメラの前で機長や客室乗務員らに抱き合うよう要請した。 (以下、略)
かなり考えた演出ですよね。
多くの人が、「うわ、たいへんだ!」とビックリしている間に、
その「意味づけ」を考え、
「いや、あれは、良かったことなのだ」
という認識を広めることができれば、
中華航空は、事故を汚点にしなくて済みます。
これ以外にも、こんな工夫が。
これ、危機管理広報の観点から、たいへん参考になる記事です。
中華航空、事故機のロゴ消す 事故調が許可那覇空港で炎上した中華航空機の事故機の残骸に残っていた「チャイナ・エアライン」の社名や尾翼のロゴが消されていることが22日、分かった。中華航空が会社のイメージダウンを恐れたためと思われる。同社から要請を受けた国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は「事故調査に影響がない」との判断から許可した。
事故機の残骸には、機体側面に描かれた英語の社名や、尾翼に描かれた台湾の花でもある梅の花が一部、焼け残っていた。20日の事故以来、残骸は連日、新聞やテレビで報道されている。塗装作業は21日夕から始めたという。中華航空は「国際慣例に従って、通常とられる手段を講じた」と説明している。航空関係者からは「会社名を消すよりも、安全性向上に取り組む方が先ではないか」との声も出ている。
同様の事例は最近、インドネシアでもあった。同国の格安航空会社アダムエアが2月、スラバヤ空港で着陸に失敗、炎上し、二つに割れた残骸を白く塗ってロゴなどを消した。 (以上、8/22/07付 朝日新聞夕刊より引用)
この行為について、どんな批判を浴びようと、危機管理広報としてはたいへん重要なんです。1つの事故で二次被害、三次被害を生み出さないためにも。 あるいは、1つの事故のリカバリーにフォーカスするために。
こうした事故の映像は、その後、何年にも渡って繰り返しメディアで使われることになります。そのたびにロゴマークが見られると、人々の頭にすり込まれ、「あのマーク=危ない」というメッセージになります。
ロゴマークはそもそも「覚えやすいように」作られているため、余計に効果的なのですね。
(逆に、そんな経緯で「汚れたイメージがついたロゴマーク」は、「会社の新たな決意を表すためにも、ロゴを一新します」なんて言って、変えてしまうことも珍しくありません)
そういう意味で、事故機からロゴマークを消す、というのはとても大きな意味があります。
ただ、これだけ明らかで強烈なメッセージ発信をすると、当然、バッククラッシュがあるでしょうね。
またそういう意味で、この後の事故処理と広報活動にも注目ですね。
今日も暑かったけど、1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
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投稿者 鶴野充茂 : 2007年08月22日 22:58