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2007年02月27日
[つるの式46]自己紹介にどう向き合うか
ここ1年近く、「自己紹介」というテーマに取り組んでいます。
効果的な自己紹介ってどんなのか、場面・目的別の自己紹介のパターン等、
学校向けの就職活動用教材を作ったり、コラムを書いたりと。
どんどん掘っていって、私はこの「自己紹介」に対する認識がすっかり変わりました。
自己紹介って、初対面の人と関係を作るためのもの、という印象がありませんか?
名前を覚えてもらう、とか、次に会うきっかけを作る、みたいなね。
私もそう思ってたんです。
でも、むしろ、
自己紹介は、「自分のため」にする。
しかも、
定期的に新しいものを用意(更新)する習慣をつけた方が良い と思うようになりました。
理由はこうです。
1)自分の変化が分かる
自己紹介を定期的に更新していくと、必然的に、新しい内容を考えるようになります。
そうすると、自分がどう変化しているのかに敏感になります。
これ、新しい人に会う機会の多い人は、きっと無意識にやってることなんです
(たとえば、新しい人に会う機会の多い人は「今、こういう仕事に取り組んでいる」と、「最近の仕事内容」を口にし、逆に、新しい人に会う機会の少ない人は、自分の職業や所属など「変化しにくいこと」を口にしますよね)。
でも、そうすると逆に、変化の変遷に気がつきにくいんです。
だから、いずれにしても、意識的に新しい自己紹介を考えていく。
2)自分のモチベーションの源泉を確認できる
誰でも時々、元気がなくなりますよね。そういう時に、自己紹介を考えると「○○をやりたい」「○○をめざしている」「○○な自分になる」といった自分がもともと持っていた目標像や意欲を確認するきっかけにもなります。
そういえば、こういうことをしたいと思って始めたんだ。思えば、しばらく進んできたから、もうちょっと踏ん張るか、と。
3)更新がチャンスを呼ぶ
これは具体例を挙げて説明します。
・転職サイトには、「データ登録(更新)から3日以内」などでスカウトの検索をしている人材紹介会社がたくさんあります。つまり、プロフィールやレジュメを頻繁に更新することで声がかかりやすくなります。
・ミクシィやGREEなどSNSで仕事(プロジェクト)のメンバーを探す場合が増えてきました。その時に、最近取り組んだ仕事内容などを適宜書き加えておくことで、検索された時に、自分がネットも問題なく使えマメで、報告もきちんとする人であることをアピールできます。
・自己紹介を考えることは、自分の今後の方向性を考える機会を持つことでもあります。(自己紹介をする状況をいろいろ想定するだけでも自然にそうなります) そうすると、たまたま会う人にも、次のステップで向かっていきたい方向のキーワードを口にする機会が増えます。こんな人に会いたい、こんな経験・チャレンジをしてみたい、みたいに。そして、発信すれば、それに関係する反応ともめぐり合います。
・自己紹介を考えると、新しい人と出会おうという気持ちになります。出会いが楽しくなって思わず行動してしまいます。
で、この自己紹介の更新を、いつ、どのようにやるか、なのですが、
オススメは、人が集まる場に出かける前がいいです。
自己紹介は、自分のために更新する、と冒頭に書きましたが、
相手や場面が見えないと紹介する内容も決められませんから。
特にメンバーが久しぶりに会うような機会がいいですね。
同窓会とか、冠婚葬祭とか。いや、もっと小さな、普段会えない仲間との食事会でもいいです。
そうすると、「最近、どうしてるの?」という
質問からやりとりが始まるのが見えていますから、準備しやすいんです。
そこで、
「今、何に取り組んでいるか」→「いつ、どんな成果が出る予定か」
「こんな面白い体験をした」→「そもそも、そのきっかけは・・・(行動)」
「前に会った時、こんなことをしていた」→「今、こんな感じになっている」
というフォーマットで話を用意します。これが自己紹介です。
そんな難しい話じゃないんです。ずっと同じ仕事を繰り返しているとしても、
前は感じなかったけど、最近感じるようになってきたことでもいいし、
見えなかった世界が見えてきたという話でもいい。
大切なのは、前から今回までに起こった「変化」です。
そして、さらに大切なのは、その「変化」が勝手に訪れた変化ではなく、自分で何かに取り組んだ結果、起こった変化、に注目することです。
(つまり、流されてじゃなくて、自発的に選択してきたこと)
また、
この自己紹介の中に、相手に関係や興味があるテーマやキーワードを入れるようにします。そうすると、話もちょっと弾みます。
久しぶりに会って、「前と何も変わりませんよ」「相変わらずです」と言われたら、なんだか話が続きませんよね。コミュニケーションを生業にしている私などは、こっちがネタを振るのを試されているような気にさえなります。
いや、これは自戒を込めて書きますが、
「前と変わらない」なんて、進化していない、新しいことに取り組んで
いない自分を宣言しているようなもので、自分に対して失礼なんですよ。
もっと自分を認めてあげた方がいい。酷使してる人は特に。
(そんなことを、「いやー相変わらずバタバタやってます」と口癖のように言っていた自分に対して思うわけです)
せめて、久しぶりに会う人に、会いに行く少し前に、相手の顔をイメージしながら、「何が変化しているのか」「何が自分の最新情報か」を考えてみる。
それだけで、変化を意識できます。
つまり、人と会うだけで、新しい自分に気づけるわけです。
これをつるの式コミュニケーション・メソッドでは、
「再会で変身の法則」と呼びます。
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まとめ: つるの式(46)再会で変身の法則
・ 自己紹介は自分のためになる
・ 再会の機会の直前に、相手に合わせて自己紹介を用意しよう
・ フォーマットは、前から今回までに起きた自分の変化
・ そうすれば、再会するたび新しい自分に気づくことができる
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投稿者 鶴野充茂 : 06:22
2007年02月26日
プレジデントで紹介されました
2/26/07発売のプレジデント社「プレジデント」3・19号 特別増大号で私のインタビュー記事が掲載されています。
特集「情報の達人」の中、 「 『IT三種の神器』 自分価値を掛け算を増やせ 」です。
P90-92 「SNS活用術」という項目でSNSのビジネス活用について語っています。
プレジデントの読者層は40代ビジネスマン。読者にイメージしやすい話を心がけました。
投稿者 鶴野充茂 : 18:35
2007年02月21日
宣言したらニュースになる
広報のヒントを1つ。 「私、これ、やりまーす!」 そう宣言するだけでニュースになることがあります。
もちろん、取り組む「チャレンジ」が、「へぇ」と思うようなテーマでないといけませんが。
その良い例がこの記事です。
富山名産「ますずし」 / 宇宙食用に挑戦 / 源が実験施設
すし飯とマスの切り身で作る富山名産の「ますずし」最大手の源(富山市)は、宇宙食用のますずし開発に挑戦する。三千万円程度を投じて実験施設を整えた。富山県立大学と連携し、長期保存できる製品の本格的な研究に着手する。源八郎社長は「創業百周年に当たる来年中には成果を出したい」と意気込んでいる。
米航空宇宙局(NASA)が持ち込みを認める宇宙食は、常温で1年腐らないことが最低条件という。このため昨年末、「クリーンベンチ」と呼ばれる清浄な作業台を備えた実験施設を本社工場近くに設けた。細菌の増殖を抑え、常温の消費期限を2日から1年に延ばすのが目標だ。(以下略。以上、2/21/07付 日経産業より引用)
今、消費期限が2日なんですね。
それを1年にする。
これは大きなチャレンジですよね。
でも、3000万円の実験施設を作った「だけ」です。 (個人的には「だけ」とは言えませんが、世間的にはそんなインパクトのある数字ではありませんよね)
だから、ニュースは、「宇宙食」と「消費期限を2日から1年に延ばす」という2つのポイントの組み合わせ、ということになるのでしょう。
さて、まったく逆の発想なんですが、
保存期間を長くしようしよう、という流れがたくさんある時に、
逆に短くしよう、というチャレンジってあってもいいですよね。
無限に保管できるメール vs 2日後には消えて読めなくなるメールとか。
更新履歴が全部記録・保存されるサービス vs 最新版がリリースされたら、「これはよく似てますが、最新版ではありません」って教えてくれるデータとか。
その意外性は、「実はこういう時に便利なんです」という特定用途やニーズとセットで伝えることで、
これまたニュースになりやすい気がします。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 10:42
2007年02月20日
中身が良くても伝わらない時
「実力さえあれば、生き残っていける」 とか 「中身が良ければ分かってもらえる」 なんて表現がありますが、こういう調査を見ていると、「実力を評価してもらうまで」「中身を見てもらえるまで」に、ハードルがあるな、と思いますね。
仕事スキルより基本マナー
日経産業新聞とgooリサーチを運営するNTTレゾナントが行ったインターネット調査によると、30-50代の部下や後輩を持つ人に、入社3年未満の若手社員について気になることを聞いたら58.5%が「言葉遣い」と答えた。入社3年以内に身につけて欲しいことでは「あいさつなど基本マナー」が72.2%、 「言葉遣い」が62.8%だった。
書類を作る文章力や語学力といったスキル以前に、早く基本動作を身に付けて欲しいとの上司や先輩の切実な願いが浮き彫りになった。(2/20/07 日経産業より引用)
コミュニケーションの難しさは、どんな正論を言おうとも、まず「話を聞こう」「言っていることを受け止め・受け入れよう」と思ってもらわないことには、効果的に伝えることはできないということです。
直接的に利害関係があって、相手の言うことを聞かざるを得ない場合でも、上の調査のように、言葉遣いやマナーが気になってしまうわけですから、ゼロから信頼関係を築こうとする場合には、大きなネックになりかねません。
どれだけ高いビジネススキルを持っていても、それを発揮する前に関係構築の段階があって、その時のやりとりでコミュニケーションがとれそうだと判断されて初めて、相手に対する「期待」が生まれ、そして、どれくらいできるのか、「お手並み拝見」というチャンスが出てくるわけですよね。
つまり、言葉遣い、マナーができないと予選落ち、ということでしょうか。
たまたま今週、弊社でもビジネス敬語・マナー教室のお知らせをしたところなので、ニーズの高まりを感じます。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 09:24
2007年02月19日
「名乗る」ことは「決める」こと
政府が団塊世代向けの支援策として、新しい「資格」の導入を検討しているそうです。
「団塊」支援へ、簡単な研修で新資格…観光や福祉など政府は、今年から定年期を迎える団塊世代の「第二の人生」を支援するため、簡単な研修を受けるだけで取得できる新たな資格制度を導入する。
資格取得に年齢制限は設けないが、退職後に社会貢献をしたいという希望を持ちながら、機会を見つけられない人を活用するのが狙いだ。「再チャレンジ支援」策の一環として、観光、福祉、環境保護などの分野で新資格の創設・拡充を検討している。
国土交通省は4月から、観光地の振興策などを立案する「観光地域プロデューサー(仮称)」の養成事業を始める。旅行会社のOBらを対象に1~2週間程度の研修を実施し、同省が設ける「観光地域プロデューサー人材バンク」に登録してもらう。全国の自治体や観光協会などから要請があれば、人材をあっせんする。報酬は派遣先が支払う。同省は将来は数百人規模のプロデューサーを養成したいとしている。
厚生労働省は「介護サポーター(仮称)」制度を検討中だ。介護保険改革では、2009年度から、要介護者などに調理などの家事援助をする「3級ヘルパー」が介護報酬の対象から外れ、事実上廃止されることが決まっている。介護サポーターは、3級ヘルパーの仕事をボランティアとして行う資格を想定している。
環境省は、企業やNGO(民間活動団体)などの環境保全活動に助言する「環境カウンセラー」を増員する。カウンセラーになるには、環境保護の経験と論文などの審査が課されるが、中高年の関心は高いという。同省は約3800人(05年)いるカウンセラーを5500人程度まで増やす計画だ。
ただ、こうした簡単な「資格」は既存の資格と仕事が重複する可能性もある。厚労省は一時預かりなどの保育事業に携わる「育児サポーター(仮称)」の創設も検討したが、「保育士の仕事を奪うことになりかねない」として断念した。 (以上、2/19/07 読売ONLINEより引用)
簡単な研修を受けるだけで取得できる資格取得者に、どれだけの専門知識や技術を期待できるのかはさておき、私は組織で働く時の資格と、定年後やフリーでやっていく時に仕事の軸となる資格には、自己演出上、根本的な違いがあると考えています。
簡単に言うと、組織で働く時の資格というのは、プラスα、アドオンのメッセージです。
私は、○○「も」できますよ。 ○○という資格「も」持ってますよ。 という感じ。
これに対して、組織を出てしまうと、ラベリング、タイトルとしてのメッセージになります。
私は、「○○ですよ」 ○○という資格「で」仕事をしていますよ。という感じ。
もちろん、資格より先に名乗るタイトルがあれば別ですが、「○○○の山田太郎です」と言う時に、組織に頼らずに仕事をする人は、多くの場合、職業が名前の前に来ますので、ある意味、資格を選ぶことが組織/仕事を選ぶのと同じ意味合いを持ちます。
そう考えた時に、
資格を選ぶのって、1つの決断が要りますよね。
「名乗る」ことは、自分が何者かを「決める」ことですからね。
今までの仕事の延長上や、ずっとやってみたかった仕事に直結する資格があるなら、選べそうに思いますが、そうでない人にとって、どうやって選ぶんでしょうか。
一方で、きっとこの先は、どんな組織で働いているとか、どんな役職かに関係なく(組織内で働いているとかいないとかに関係なく)、自分の仕事を定義するような名称をつけるのが一般的になってくるような気がします。
でも、もしそうだとしたら、そういう、言わば「進路指導室」的な役割は、今後、ハローワークが担うんでしょうか。
いやいや、そこにこそ、「自己演出プロデューサー」という職種が重要な役割を担えそうな気がします。
主管は文科省ですかね。それとも厚生労働省? 今度持ちかけてみよう。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの頭の体操ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 17:23
伊藤智恵子の「ビジネス敬語・マナー教室」 (3/12-)
3月から、ビジネス敬語・マナー教室を開講します!
もし、あなたが、仕事で・・・
・初対面が苦手
・電話の応対が怖い
・敬語やマナーを後輩や部下に教える立場になっちゃった
というなら、これはまさに、あなたのための教室です。
こんにちは。つるの式/ビーンスターの鶴野です。
こんな印象、ありませんか?
「マナー」 = 新入社員の時に、一斉研修で「型」を一気に習うもの
名刺交換とか、お辞儀の仕方とか。
でも職場では、なかなか活かせないんですよね。
しっくり使えるところまで身についていなかったり、
部署にマナーの手本になるような人がいなかったりで。
その一方で、
言葉の使い方や動作の不自然さから、
相手のことを信用できないと感じたり、
あるいは自分自身に自信を持てなかったり
したことはありませんか?
にもかかわらず、自己流で通してませんか?
信頼関係を築いていくのに重要だと知りながら、
なかなか学ぶ機会が少ないのが、
ビジネス敬語とマナーなのです。
そこでビーンスターでは、
・これだけ知れば、できれば、恥をかかない
・すぐに使えて、人間関係や自分自身に自信がつく
・後輩、部下にも教えられる!
をコンセプトに、プログラムを開発しました。
講師は、昨年の「コミュニケーションの達人」セミナーで
参加者から高い満足度を獲得した伊藤智恵子さんです。
従来の一般的な「マナー研修」との違いは、
・ビジネスですぐに使える敬語表現と体の動作がセットで「身につく」
・なぜこの言葉、このマナーかという「理由もしっかり分かる」
・「明るく、楽しく」学べる (堅苦しくない!)
という点です。
就活・学生や新人はもちろん、職場リーダーやメンター役の方にもオススメします。
お申し込み・詳しい内容は、こちらからどうぞ
投稿者 鶴野充茂 : 10:57
2007年02月14日
「説明力」はこうして鍛えられる
私がPR会社で仕事をしている時に痛切に感じたのは、会社や個人は、「説明(情報発信)せざるを得ない状況にならないと、わざわざ説明しない」ということでした。
日本で広報が遅れているのは、つまり、広報しなくて良かったからなんです。
それが、今、急速に状況が変化してきているのを感じます。
説明(情報発信)せざるを得ない機会がどんどん増えているんです。企業も、個人も。
そんなことを思いながら、この記事を読みました。
「トリビアの泉」行き過ぎ演出か、フジは捏造否定
フジテレビは13日、バラエティー番組「トリビアの泉」の企画コーナー「雑種犬の能力検証」で、飼い主ではない動物プロダクションの社長を飼い主であるかのように放送していたことを明らかにした。
NPO法人「動物実験の廃止を求める会」の指摘に回答した。
フジテレビによると、この番組は2005年9月14日に同系列で放送された。雑種犬100匹で「飼い主が突然倒れ、苦しみ出したらどうするか」を調査した。
このうち1匹は、飼い主ではなく、その犬が所属する動物プロダクションの社長が出演した。また、うまく撮影できなかったため、撮影時にドッグフードを使ったという。
フジテレビ広報部は、「社長を『飼い主に準じる方』と判断した。『やらせ』『捏造(ねつぞう)』とは全く違う」としながらも「反省すべき点もあった」とコメントしている。
(2/14/07 読売ONLINEより引用)
私が最も注目したのは、2パラグラフ目の文章です。
「NPO法人「動物実験の廃止を求める会」の指摘に回答した。」
この一行を見て、 「お!」 と。
これまで、日本の消費者団体やNPO/NGOは、情報発信が弱かったんです。本当に弱かった。
どれだけ正論を言っても、企業に圧力をかけるだけの力をなかなか持てなかったし、マスコミを動かして記事を生み出すこともできませんでした。
そういう意味で、こうしたNPOが特定テーマで、巨大メディアを突付いて、公式コメントを出させ、他のメディアに取り上げさせることができた今回のケースは、画期的だな、と。
もちろん、この背景には「あるある大事件」でメディアの信頼性を問う意識の高まりがあるわけですが、大きな時代の流れとして、メディアやその他の企業も、「信頼され続けるために、説明せざるを得ない」という方向に環境が変化していることだけは確かです。
ただし! せっかくテーマに興味を持った人が、この「動物実験の廃止を求める会」 のサイトを見ても、今回の「指摘」を自分たちのサイトで発信していません。
説明を求めている団体も、自分たちの説明は、まだまだ甘い。
まさに発展途上ですね。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 10:16
2007年02月11日
健康や食の情報番組の演出効果
2/10/07付 日経新聞の社会面に興味深いコメントが載っていました。
「あるある」捏造の温床 (下)という記事で、納豆ダイエット問題に端を発した「発掘!あるある大事典II」番組によるデータ捏造の周辺情報をまとめています。
記事全体のトーンは、番組制作の過程で専門家・研究者のコメントや実験のいい加減さにウンザリすることがたくさんある、というもの。ただ、私が思わず目を止めたのは、次の箇所です。
健康や食の情報番組を手がけるベテランディレクターによると、演出効果を狙うなら、3つのツボをおさえればよい。グラフとカタカナ用語、そして白衣姿の学者。(以上、記事から引用)
たまたま、いい加減な番組制作の記事に登場する情報ですから、「そんな簡単なものか」とネガティブに受け取りがちですが、これは、説得に極めて有効、効果的な3つのポイントです。 コミュニケーションを考える人は覚えておいて損はありません。
・グラフ → 分かりやすいデータ
・カタカナ用語 → どこかの世界では「当たり前になっている」(どこかでは広く認められている)という情報
・白衣姿の学者 → 専門家の意見
つまり、かなり応用範囲が広いんです。
1)データを見て自分で理解し、2)他の人も認めていて、3)専門家がお墨付きを与える、と。
テレビの場合、細かな情報よりも「印象」を伝える方が得意なメディアですから、グラフ(見てすぐ分かる)・カタカナ(象徴的に繰り返し使える)・白衣(見た目に専門家)という3点セットが効果的なのですね。
ベテランテレビマンが経験から生み出した見事な方程式だと思います。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 00:08
2007年02月09日
R25で紹介されました
リクルートの「R25」で私、鶴野が紹介されました。
2/8/07(木)配布(首都圏中心、60万部)の号です。
P26-29の「内から外から、自分力アップ!! アナログな仕草で男を上げるモテ”手ワザ”という記事です。
ビジネスシーンで使える「手ワザ」について、いくつか紹介しています。
見かけたら、手にとってご覧ください。
投稿者 鶴野充茂 : 13:15
対応策が見つからない時の危機管理メッセージの発信
今年は不二家の問題を代表作として、さまざまな企業/団体で問題や不祥事が起こり、組織のトップや広報の仕事をする人にとっては、いろんな危機管理のケーススタディを見る、たいへん良い機会になっています。
たとえば、2007年1月に発覚した危機管理のケースをざっと調べただけでも、これくらい出てきます。
- あるある大事件(納豆事件)
- スタバで見本用の洋生菓子を誤販売
- 客に3カ月半前のドリア 茨城のファミレス
- マーガリン「ラーマ」にメッキ片混入、86万個回収へ
- 不二家、04年販売のビスケットに金属片
- コカ・コーラ:飲料に破片混入 13万4000本自主回収
- 大阪USJで菓子2商品回収、賞味期限切れ原材料
- 不二家、チョコの箱にガが混入12件
- 三菱ふそう、新型ハブ亀裂で56000台リコール
- ポケットの携帯電話が発火、半身やけどで男性重傷
- JR京葉線の車掌、ニセ異常通報で電車遅らす
- 不二家、12年前に9人食中毒発症も公表せず
- 顧客情報紛失:ミルクコミュニティが2598人分
- 南京虫に食われ賠償金数億円? 英最高級ホテルの宿泊客
- 鶏8000羽を殺処分 宮崎の鳥インフルエンザ
- ミスタードーナツの商品から異物、ダスキン発表
- 文科省、「LEC東京」に特区大学初の改善勧告発動
- 全資料流出の可能性大 試験問題漏洩で福岡市教委が報告
で、こういう時に、当該組織は、状況や問題が起こった原因などをしっかりと発信する必要があるわけですが、そこに必ず「今後の対応策」というのを入れなければなりません。
多くの場合、「今後、再発防止に向けて、○○にしっかり取り組んでいく」というようなメッセージになります。
ところがこれ、そんなに真面目に見ていなくても 「え、それで本当に解決しますか?」と突っ込みたくなるようなものが多いんですね。
それもそのはず、問題が発生している時の組織の問題は、「○○を直す」→「もう安心」というような単純な形には、なかなかならないからです。
でも、「これは組織風土の問題で、何かを直せば再発防止になる、という単純なものではありません。だから、気をつけて見ておきます」というのでは、社会的に許されない。それで、「まず、始めのとっかかりとして○○に取り組む」というメッセージにならざるを得ない、という事情があります。
そんな中、割と違和感を感じさせずに受け入れられそうな「対策」を見つけました。
2/9/07付けのニュースです。
甘い管理、自衛隊秘密文書27件紛失…22件公表せず (読売ONLINEから引用)
陸海空3自衛隊で2000年度以降、自衛隊法で定めた秘密文書を紛失する不祥事が計27件起きていたことが分かった。
防衛省は、表面化したものなど5件を除き、「文書の捜索を誘発し、情報漏えいが拡大するおそれがある」として、大半を公表していなかった。
同省は「誤って廃棄するなど単純ミスが多い」と説明するが、会議終了後、文書回収を怠るなど、組織的な管理の甘さが原因とみられるケースもあった。
(中略)
防衛省情報保全企画室の話「厳格に定められた管理の手続きを守っていれば紛失も誤廃棄も起きないはずで、事案が起きたのは隊員の意識の問題と受け止めている。今後も教育・指導を厳正に行っていく」 (以上、引用おわり)
私は、この最後のコメントを見て、秀逸だと思ったんです。
役所は、よく「これは省員個人の問題で、組織の問題ではない」というスタンスを取り、なかなか謝りません。
問題はどうあれ、先にそういう結論がある。
それで、ここではその「個人の意識」の問題は「教育・指導を徹底する」ことで解決する、と言っているわけです。
(企業だと、多くは、「社員の意識の低下は、会社の責任です。すいません」と自分から言います。徹底されていない管理の手続きは、組織的な問題と捉える方が自然だからです。でも、そう捉えなければならないというルールはありません。言い方次第なところもある)
つまり、「どうしようもないんです」というのを、今後の対策を何も約束せずに合理的に伝えているわけです。
(少なくとも、この記者はこのコメントに対して食い込めなかった)
これ、組織としての対応策をどうしていいか分からない時の表現として、たいへん参考になります。
さすが、自衛隊! という感じ。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 06:12
2007年02月05日
出生の秘密が伝えるもの
トレーサビリティ(traceability)って、ご存知ですか? 製品の流通経路を記録して、たとえば、消費者が手に取った食品がいつどこで作られたかを知る仕組みなのですが、私、これ、ちょっと甘く見ていました。
週末に牛肉を買ったのです。
すると、パッケージにこんなシールがついてました。
これで、生産者が分かる。どこの牛で、どこで生まれて、どこで育って、・・・・いや、知ってたんです。
そんな仕組みがあることも、それが大切な意味を持つことも。
でも、実際に、このトレーサビリティのデータを管理している「家畜改良センター」のサイトを開いて、
自分が持っている「牛」のコードを打ち込んで、出てきたデータを見てみると、「牛」に対する見方が変わりました。
なんていうんでしょうか、私の場合、「牛」の肉の「かたまり」が、「牛さん」になって、親近感と感謝の気持ちが生まれました。
私が日曜に食べた「うしさん」は、平成16年10月2日、北海道生まれで、翌年7月7日に山形県の牧場に買われて行きました。そして、その1年半後の今年1月9日に食肉処理されたとあります。
わずかこれだけの「データ」なんですが、名前がついていたのかいないのかも知らない「牛」なのですが、気がついたら私は、この「牛」が生まれてから自分の目の前にやってくるまでの2年少々の月日に思いをはせていました。
本当に、私は、この「うしさん」を、しっかり味わい尽くして食べたのか。恥ずかしくない食事をしたのか。
出生の秘密を知らされただけなのに、いや、出生の秘密という究極の個人情報を知らされたからこそ、
私は、この「うしさん」との関係を真面目に考え、自分を振り返る機会を持つ事ができたように思います。
ありがとう、牛さん。
出生の秘密を伝える。これ、インパクトありますよ。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 10:50
2007年02月01日
「解決策」が売れる条件
サービス業やコンサルティング、あるいはシステム会社で「ソリューション」を売ってるんだ、というところがたくさんありますが、その「ソリューション(解決策)」が実際に、本当に、売れるためには、1つの条件があるようです。
そんなことを日経産業新聞に掲載されたサントリー・ウーロン茶「黒烏龍茶」のストーリーを読んで考えました。
1回分の350mlの商品で許可を得て、発売したのが06年5月16日。追い風も吹いた。同月8日に厚生労働省がメタボリック(内臓脂肪)症候群について、成人の有病者が1300万人、予備軍が1400万人という推計を発表したのだ。
肥満に関する意識が高まり、当初の販売目標200万ケースを大きく上回る620万ケースを売り上げた。中身をおいしく工夫したことで、飲食店などからの引き合いも多く、健康飲料の業務用販路開拓という新たな可能性を広げた。 (以上、2/1/07 日経産業新聞 日経優秀製品賞・最優秀賞についての記事から引用)
もちろん、製品づくりの工夫はあるんです(この記事の前2/3は製品の良さがまとめられています)。 が、この「厚生労働省のメタボリック症候群のデータを発表」というのは大きいですよね。需要が生まれるわけですから。 まず私はここに興味を持ちました。
人が「解決策」に興味を持つには、その前に、「問題」を意識する必要がある、と。
また、
「問題」を意識した「飲食店」、つまりB2Bの販路がパートナー化した、ということ。
これによって、安定的に「解決策」が提供される仕組みができたことになります。
つまり、「解決策」が売れるには、
・解決したい「問題」が売れること
・「問題」が売れ始めた時に、「解決策」を安定的に提供できる仕組みができること
というのが、条件になってくるわけですよね。
あ、もちろんこれは、「問題」にいち早く目をつけて、まだニーズが世の中に広く認識されていない時点でサービス・商品を提供しようとしている人にのみ、参考になる話ですが。
今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!
投稿者 鶴野充茂 : 12:18