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2007年08月31日

[つるの式47]どうすれば気持ちは伝えられるか

正直に告白しますが、

私は、「おいしい~!」と言いつつ眉間にシワをよせる人を
信じることができません。

テレビのレストラン紹介で、出てきた料理を若い女性レポーターが食べ、
「う~ん、おいしいですぅ~!」と力を込めて言う。

でも、その眉間にはシワがよっていて、顔のパーツは真ん中に向かって
力が入っている。

私はそんな顔を見ると、

ああこの人は、料理よりも、自分が美味しそうに食べていると見せる
 ことに興味があって、料理はそんなに美味しいわけじゃないんだな

と考えてしまうのです。

だって、美味しさに驚いた時って、顔のパーツは外に広がるでしょ?
他のことを考えるから内に向かうんです。
 

ひょっとしたら本人は、本当に美味しいと思っているかもしれない。
でも、それを信じてもらえないとしたら、悲しいですよね。

あなたも経験ありませんか?

笑顔になって、「怖い」と言われたことがある。とか。

素直に思ったことを言ったら、
「本当はそんなこと思ってないでしょ」なんて返されたり。とか。
 

気持ちをしっかり込めれば、伝わる、なんて言う人がいます。

私は違うと思っています。気持ちと表現は別モノだからです。

人はいくつもの方法で、相手の真意を測ろうとします。
言葉で聞いて、目を見て、何気ないしぐさや間の取り方、
気がつくところすべてで感じ取ろうとします。

何度も確認し、場合によっては疑い、
本当かな、信じていいのかな、といろんな方法で確かめようと
するのです。

ところが、気持ちとは裏腹に、違う態度を示していることもあります。
そして知らず知らずのうちに相手を混乱させてしまっていることが
あります。

そんなことから、
今回は気持ちを伝える効果的な方法について考えてみたいと思います。


さて、
逆に、気持ちなんてこもってないのに、効果を持つ表現もあります。

たとえば、私の2歳の娘。もう何でも人の真似をします。
表現を真似て覚えていっている最中です。

言葉を覚え始めたころ、母親が「きれいね~」という言葉を
よく使っていました。

外に出て、草花や景色、店の商品を見て、「きれいね~」と言う。

そうすると、娘は自分から何かを見つけて「きれいね~」と
言うようになります。「そうだね~、きれいだね~」と母親が答えます。

だんだん本人は自信を持って、次第に大きな声で使うようになります。

念のために言いますが、本人はしみじみ感じて「きれい」という言葉を
使っているわけではありません。「こういう使い方をする言葉なのか」と
考えながら、効果を確認しながら使ってみているのです。

そのうちこの言葉に反応する人が現われ始めました。

店の中で何かを見つけて大きな声で「きれいね~」と言います。

人々が振り返って、目を見開いて、娘の顔を見ます。
これが見事なほど、全員、女性なのです。

「ひょっとして私のこと?」 
・・・そんなふうに思うのかどうかは分かりません。

私はこの娘に、
何かをもらった時、「ありがとう」という言葉を早いうちから
使えるようにしてほしいと、条件付けのように練習しました。

外でも「ありがとう」と言えるようになると、たいていの人は
その言葉に「えらいね~、よく言えるのね~」と感心してくれました。

母親が、知らないうちに
「ありがとう」の後に、相手の名前をつける「技」を教えました。

「ありがとう、パパ!」
 
初めてこの言葉を聞いた時、
不覚にも、私はわずかその二文字が増えただけの表現で
感激の涙をこぼしそうになりました。

もちろんこの時、
本人は気持ちよりも、表現が先行しています。

だって、視線はずっと手元にあり、言ったそばから
もらったクラッカーをかじることに一生懸命でしたから。

そんな姿を見ていると、コミュニケーションは形から学ぶもの、
つまり、
言っているうちに気持ちが追いついてくる
 のだと感じますね。

そして同時に、ほんの少しの表現の差で、
間の取り方、言葉の選び方で、印象・伝わり方が
まるで違うことも身をもって感じますね。
 
またそれは、どうやら気持ちがこもっているかどうか、
という問題じゃないようです。

一方、大人の場合は少し事情が違います。

大人は何かと気持ちから入ることの方を重視しがちです。
「形だけでも整えて」 よりも 「気持ちを込めて」が
より崇高なイメージで語られます。

これ、日本語でおなじみの「たてまえ」と言います。

たとえば、クレームをつける時に、「誠意を見せろ」と言いいます。
この時の誠意は明らかに気持ちではありません。必要なのは形です。

一般的には、
気持ちがこもっているような、形を整える 方が気持ちは伝わりやすい
のです。


先日、面白い話を聞きました。
 
ホステスでモテる人は、どんな人か。
美人だったり、話術にたけていれば当然人気も上がりますが、
そうでなくても、マメに手紙やメールでメッセージを送り続けて
人気の人がたくさんいる、と。

マメさ。確かに効果的ですよね。

ずっと繰り返して、「思い」があるように形を整える。

相手もはじめは「ウソでしょ? 仕事だからね」と思っている。
でも繰り返し同じメッセージを送られると、
「ホントかな、そうなのかな」と思ってきます。

そうして大人は錯覚します。

これ、これ、これが、大事なんです。
見えない何かを信じられている状態こそが、
コミュニケーションが成立している状態なのだと思います。

もちろん、メッセージの受け手が、
心の底から相手を信用しているのかどうかは分かりません。
 
でも、少なくとも思っているはずです。
 
「まあ、そこまでやってくれてるんだから、騙されてもいいかな」
 

 これをつるの式コミュニケーション・メソッドでは、
 「継続は疑いに勝る、の法則」と呼びます。

 
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  まとめ: つるの式(47)継続は疑いに勝る、の法則
  
  ・ 思いは何度も疑われる
  ・ だから何度も違う表現で伝える
  ・ マメさも効果的だ
  ・ そのうち「まあいいか」と思われる
  ・ 相手が諦めたら勝ちだ

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投稿者 鶴野充茂 : 2007年08月31日 05:54