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2007年03月19日

政治言葉の不思議

政治家が支離滅裂な話をしたり、ケッタイで意味不明な表現をしたりすることは決して珍しくありません。私もそのたびに反応するわけではありませんが、この記事を読んで、日本語の意味と伝えたいメッセージは何なのか、なぜだか自分自身が試されているように感じたので、書いてみます。

松岡氏は説明不十分=光熱水費問題で自公参院幹事長 (3/18/07 時事通信記事より引用)

自民党の片山虎之助参院幹事長は18日午前のNHK番組で、松岡利勝農水相が資金管理団体の光熱水費の詳細説明を拒み続けていることについて「もう少し説明責任を果たした方がいい」と述べ、現時点では説明が不十分との認識を示した。公明党の木庭健太郎参院幹事長も同番組で「これ以上(法律上は説明を)やる必要がないと松岡氏本人は言っている。ただ、国民に対する説明責任を果たせたかというと疑問の部分がある」と指摘した。

この記事には、疑問がいくつもわいたのです。

その1 なぜ、片山氏は、「もう少し説明した方がいい」 ではなく 「もう少し説明責任を果たした方がいい」と言ったのか。

その2 なぜ、この記者は、「「もう少し説明責任を果たした方がいい」と述べ、現時点では説明が不十分との認識を示した。」と同じ意味に読める言葉を繰り返しているのか。

その3 なぜ、木庭氏は、「国民に対する説明は不十分だ」 ではなく 「国民に対する説明責任を果たせたかというと疑問の部分がある」と言ったのか。

上の記事で、私は日本語の正しさについて強い意見はありません。

ただ、「説明する」ではなく「説明責任を果たす」という表現を選んだ理由を考えた時に、この2つの表現は、話し手にとってメッセージが違うような気がするのです。

仮に「説明した方がいい」と言うとすると、それは、「私は、彼に説明することを勧める」という提案のメッセージになります。

これが「説明責任を果たした方がいい」と言うと、「彼は説明という自分の担当の仕事をしていない」という否定のメッセージに読めます。

だとすると、この2つのメッセージは質的に違いますよね。

曖昧に聞こえる「説明責任を果たした方がいい」という言葉の方が、言ってる意味は強い。


きっと、本人は、そんなことを考えていなくて、「ここでは、『説明責任』という言葉だ、大切なのは『説明責任を果たす』ことだ」というキーワードが先に頭にあって、口から出たのだとは思いますが。

強く言いたいけど、強く聞こえない、それでいて自分の意見はしっかり発信しているように受け取ってもらえる表現を選ぶ。

(そこには、言いたいメッセージと、伝わるメッセージが違っていて良しとする気持ちがある)

意識しているかどうかは別にして、そんなコミュニケーションが、政治の世界で生き残るために必要なスキルなのかもしれません。


そんなことをすべて踏まえて、記者は、「「もう少し説明責任を果たした方がいい」と述べ、現時点では説明が不十分との認識を示した。」と翻訳したのでしょうか。だとしたら、この記者も高度なスキルの持ち主ですね。


今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!

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投稿者 鶴野充茂 : 2007年03月19日 11:04