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2007年01月18日
名前を伝える価値
先日、近くのスーパーでみかんを買いました。西宇和(愛媛)ということで、感覚的な価格より2-3割高かったのですが、他に安いみかんが売られてなかったので、それを買って帰ったんです。
やや小さめのみかんが透明の袋詰め(高級感の演出?)で10コくらい入って498円くらいだったかと思います。もうちょっと入ってたかな。記憶があいまいでスイマセン。なんせ食べてしまった後なもので。
宇和島みかんって有名ですよね。あのあたりのだから、きっと味もいいんだろう、というのが2-3割のプレミアム料金を払う時、自分なりの納得理由としてありました。
家に持って帰って、食べてみる。
確かに甘い。おいしかったんです。何個食べたかも忘れたくらいに。
で、袋の中に1枚の紙を見つけました。
それがこれ。
なんてことのない、コピーの紙に、
「もぎたてをそのままお届けします。私が丹精込めて作りました」
という言葉。その下に、手書きで名前が書いてあります。
どう思います?
この菊池さんが実在する人物かどうかはわかりません。
でも、西宇和農協は、菊池さんが実在の人物で、なおかつこの今食べているみかんを生産し、
しかも「丹精込めて作った」ことを保証しているんでしょう。
コピーだけど。
そして、おそらくこの実在する菊池さん本人が、それを伝えるために、名前だけは手書きで書いているんです。
このコピーの紙は、愛媛県八幡浜市の菊池さんから、東京都港区の私のところに、切手も貼らずに、宅急便を使わずに、やってきたわけです。
おそらく意図せずに。
この紙を見て、私は、2-3割のプレミアム料金は、この菊池さんの名前に払ったんだと思いました。その理由は、
・一般的なみかんの赤いネットと比較して、パッケージに差はあれど、コストはおそらく無視できるほどでしかない(=パッケージにプレミアム料金を払ったのではない)
・味は良かったが、安いみかんにもおいしいものはある(=味にプレミアム料金を払ったのではない)
・そうすると産地とか、ブランドに価値がある、という話になりやすいが、それは購入時のマーケティング的な説明にはなっても、購入後の、納得感の説明にはならない(=ブランドにプレミアム料金を払ったのではない)
・納得感の説明がはっきりできないと、(このみかんの場合)リピートにつながらない
・自分はこの菊池さんの名前を見ることで、この西宇和みかんを記憶し、同じ店でまたこのみかんを買う可能性が高い(まだ買ってない)
・菊池さんの名前がなかったら、きっとこの西宇和みかんについて考えたり、ネット検索したり(詳しくなった)、ましてやブログで紹介することはなかった
からです。
商品をとりまとめているのは団体でも、そこに個人の存在を確認できるのがいいじゃないですか。
買う時に、店頭のPOPで「私たちがつくりました」と笑顔の写真を置くのはよくあります。でも、こんなふうに、食べて、満足した時に、「実は私が作ったんです」と生産者と出会えるのは、貴重な体験でした。
名前を書くと、2-3割のプレミアム料金を払ってくれて、リピートしてくれるんだったら、名乗った方が得ですよね。
人間関係も名前を早めに伝える方が、関係がつくりやすいですよね。(だから、まずビジネスでは名刺交換するんですよね)
関係を作りたい時には、まず名乗る。
また今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!

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投稿者 鶴野充茂 : 2007年01月18日 15:08