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2006年12月20日

【映画評】売れてるプロの共通点とは-「キッド」

ビーンスターで開催している文章塾の宿題で、ブログ用の映画評論がありましたので、私も映画を観て、実際に書いてみました。

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もしも、あなたが・・・

 ・専門性を伸ばしてプロとして勝負したい
 ・自分の名前で仕事をしていきたい

なら、自己演出の専門家として、私が、ぜひともオススメしたい映画があります。

これを見ると、多くの「売れているプロ」に共通する言動や所作がよく分かります。

欧米の企業では、社長が複数の候補者から後任社長を選ぶ時に、「最も社長らしい人」を選ぶ、とよく言われますが、専門家として成功するために、「成功者らしい姿」を学ぶのに、この映画はまさに最適です。

2000年公開、ブルース・ウィリス主演の「キッド」(原題:Disney's The Kid)がそれです。


(1)ストーリー

ブルース・ウィリスが扮するのは超売れっ子の「イメージコンサルタント」。40歳を目前にして、仕事では成功しているものの人格や職業倫理的には難有り、という人物として描かれています。

そんな彼の前に、突然8歳の頃の自分が現われるところから話は展開。不器用でいじめられっ子だったあの頃とはまったく違う成功者となった自分に対し、8歳の自分は「40歳になってもパイロットじゃなくて、犬も飼ってなくて、家族もいなくて、一人ぼっちなんて最低だ!」と言い放ちます。

はじめは幻覚に違いないと対話を拒んでいた「現在の彼」は、次第に今の自分が子どもの頃に望んだ夢を何1つ叶えていないことに気づき、「8歳の彼」と2人で自分自身を見つめるようになります。

売れっ子だが多忙でストレスの多い毎日を送る主人公が、子どもの頃の自分との対話を通して、忘れていた自分の夢やトラウマに気づき、本当の自分を取り戻すというのが全体のストーリーです。


(2)見所は「売れてるイメージコンサルタント」の描写

愛や感動をテーマにすることの多いウォルト・ディズニー提供の作品ということもあり、一般向けの解説には、「大人の自分」と「子どもの自分」の対話の流れが「さわやかな涙に包まれ、希望に満ちたメッセージが深く静かにしみわたる珠の感動作」(DVD解説文)だと書かれています。

確かにそんな印象を受ける映画ですし、この映画を観た後、さわやかな気持ちを持つとともに、自分を見つめなおす人もきっと多いと思います。

しかし、もしあなたが「自分を売り出す仕事のヒント」を探しているなら、注意して見ていただきたいのは、むしろ登場人物の描写の方です。

主人公は、第一線のイメージコンサルタント。超一流のスポーツ選手や政治家など、各界のVIPをクライアントに持ち、質の高いサービスを提供しています。

イメージコンサルタントと言えば、成功者のイメージづくりをするプロです。しかもその道で売れっ子の主人公が、自分自身を成功者に見せるために何をしているか。たいへんリアルに、細部にわたって精緻に描写されているので、そこにぜひ注目していただきたい。


(3)成功者と感じさせるポイントとは

この映画で、登場人物が成功者や「売れてるプロ」だと感じさせるポイントは、随所に見られますが、中でも以下は、イメージコンサルタントに限らず、あらゆる分野の専門家やプロに共通するポイントです。

 ・自分の考えに確信を持ち、迷いのない(態度で)アドバイスをする
 ・自分の仕事の付加価値を明確に形にする
  (他の人にはできないと思うようなことを実現する)
 ・ストイックなまでの時間管理をする
 ・「そこまでやるか」というレベルの仕事へのこだわりを見せる


この映画で、主人公の職業が「イメージコンサルタント」であることには重要な意味があります。

シナリオ的には、「他者の中に好ましいイメージを作るのが得意な人」なのに、どれだけ世間から認められても、「自分自身からは認められなかった」というドラマチックな対比を生んでいます。

しかし、それにも増して、第一線のイメージコンサルタントという設定だからこそ、細部まで考えつくされた「売れてるプロ」のイメージが目立つことなく、嫌味もなく、実に自然な形で表現されているのです。

服装や車、時計などの身の回り品はもちろん、言葉の使い方や行動、所作、仕事への姿勢のすべてにおいて、好ましい人物像かどうかは別にして、どの一部分を切り出しても「売れてるプロ」を象徴する何かを感じ取ることができます。


新しい年を迎えるこの時期、来年こそは仕事で更なる飛躍をめざすあなたに、ぜひ参考にしていただきたい、らしく見える「売れてるプロ」の姿です。


(本文1796文字)


■映画/DVDデータ

thekid.jpg

ブルース・ウィリス 「キッド」
発売元 ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
VWDS3001
アマゾンで購入する

【キャスト】
ブルース・ウィリス/スペンサー・ブレスリン
エミリー・モーティマー/リリー・トムリン
チー・マクブライド

【スタッフ】
監督:ジョン・タートルトーブ
脚本:オードリー・ウェルズ
製作:ジョン・タートルトーブ、クリスティーナ・スタインバーグ、ハント・ローリー
製作総指揮:アーノルド・リフキン、デビッド・ウィリス
撮影監督:ピーター・メンジス・Jr.(A.C.S.)

ビーンスターで開催中「烏賀陽弘道の読ませる!ネット文章塾」もオススメです。

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投稿者 鶴野充茂 : 2006年12月20日 17:19