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2007年11月28日

マクドナルド 「調理日時改ざん問題」 の 広報対応

11/27/07付 朝日新聞一面に、マクドナルドの記事が出ました。朝日のスクープです。

以下、引用。

マクドナルド都内4店舗、調理日時を張り替え

ハンバーガー大手マクドナルドの東京都内の4店舗が、売れ残ったサラダについて、調理日時のシールを翌日付に張り替えて販売していた疑いのあることが、26日わかった。事実と異なる調理日の表示は、不当表示として景品表示法にふれる可能性がある。


 日本マクドナルド(東京都)によると、調理日時改ざんの疑いがある店は、早稲田店、大塚駅前店、新大塚店、本郷三丁目店の4店舗。いずれも同社とのフランチャイズ契約に基づいて株式会社アスリート(同)が運営している。

 社内からとみられる情報提供に基づいて、日本マクドナルドが今月6~9日、4店舗の従業員約50人に聞き取り調査をしたところ、各店の従業員が「サイドサラダ」「新サラダディッシュ・クリスプチキン」「同・グリルチキン」の3品目について、「(前日から)持ち越した品の調理日時シールを新しい日付に張り替えていた」と証言したという。

 アスリート社によると、改ざんを証言した従業員は「(廃棄するのは)もったいないと思い、見た目に問題がないのでやってしまった」と話したという。

 日本マクドナルドは、取材に「改ざんしたという証言はあるが、その事実までは確認できていない。調理日時の表示は消費者のためでなく店側の管理のためのもの。不当表示には当たらず、何ら違法性はない」と説明。また各店には同社の社員2人が勤務しているが、「社員からの指示の有無は確認できていない」としている。

 アスリート社は「間違いを一切出さないようにしていたが、(日本マクドナルドの)指摘を受けて、ずさんな部分があったとわかり、驚いた」と話している。

(以上、引用終わり)


これを読んで、直感的に何かイヤな印象を受けました。

調理日時の張り替え、というよりも、この広報コメントについてです。

・・・ 日本マクドナルドは、取材に「改ざんしたという証言はあるが、その事実までは確認できていない。調理日時の表示は消費者のためでなく店側の管理のためのもの。不当表示には当たらず、何ら違法性はない」と説明。

とあります。  

おっと。  

この、マクドナルドの、広報対応は明らかに失敗。 違法性の有無で片付けるのは弁護士で、広報は消費者の意識にもっと気をつける必要があります。   

メディアの追求が始まるかな、と思いました。

すると、同日昼に社長による緊急記者会見。トップが出てきてお詫び。この対応は早かったと思います。

朝日新聞のウェブには、

大手ハンバーガー店チェーン、マクドナルドの東京都内4店舗での調理日時改ざん疑惑で、日本マクドナルドの原田泳幸社長は27日午後、東京・新宿のホテルで記者会見し、「マクドナルドとして心配をかけたことを深くおわびします」と陳謝した。「もっと早い段階で確認できなかったことが残念だ。朝日新聞社の報道の前に我々の手で早めに確認すべきだったと、重ね重ね残念に思う」とも述べた。

 会見した社長らは「これまで客から健康被害についての連絡がないことは確認した。専門家の見解では人体への影響はないとのことだ」と話した。

とまとめられました。

でも、何かしっくりきません。

何度も記事を読み直してみて気づいたのは、「今後、どうする」というメッセージが出てないんですね。

もっと早い段階で確認できなかったことが残念だ。朝日新聞社の報道の前に我々の手で早めに確認すべきだったと、重ね重ね残念に思う

こんなこと言ってるからです。

これは言わなくて良かった。

いや、言ってはいけなかった。

この約60文字のコメントのお陰で、本来、マクドナルドが記事に載せたかった「今後、われわれは○○の対応を取ります(○○して再発防止に取り組みます)」みたいなコメントが飛んだんです。

いや、もちろん、きっと記者会見では言ってるはずなんです。


これからどうする、というのは危機管理広報の基本のキですから。

実際、当該企業とのフランチャイズ契約を解除したと発表もされています。


でも、新聞の、限られたスペースに引用されるコメントからは落ちてしまいました。

速報的な短い記事に、引用は2つが限界です。何を言うか、どう言うかによって、メディア側がどのコメントを引用するかが決まってしまいます。

発信者側にとって重要な内容でも、引用文として面白くなければ、落ちてしまう わけです。


 

産経の記事にはこんなのも出ています。

「36年の歴史で大変残念」…マクドナルド会長が謝罪  

日本マクドナルド(東京都新宿区)の都内4店舗で売れ残り商品の調理日時のシールが張り替えられていた問題で同社の原田泳幸会長兼CEOは27日昼、都内のホテルで記者会見し、「多大なご迷惑とご心配をかけたことを心よりお詫びします」と謝罪した。

 原田会長は「大変厳しい管理基準に自信を持っていたが、店舗でサービスする際、クルー(従業員)に心の規律がなければならなかった。36年間の歴史のなかでこのようなことが起きて大変残念だ」と述べた。


「36年間の歴史のなかでこのようなことが起きて大変残念だ」と。

これも記者会見の場で言うべきコメントじゃないですね。見出しになるくらい強い表現だし、消費者感情も刺激します。

一連の広報対応で出てきたメッセージの印象は、

自信あったのに残念、FCめ。 > 法律的には問題ないけど >  謝罪 > 対応します


でも、きっとマクドナルドが発信したかったのは、

謝罪≒すぐ対応します > 責任の大きさ理解しています > たとえ法律的には問題なくても > 36年かけて積み重ねた信頼を再び回復できるよう全力を尽くします

という感じですよね。違いますかね。

・・・広報って本当に難しいですね。 


 

     今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!

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投稿者 鶴野充茂 : 2007年11月28日 02:20