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2007年01月27日

中身をしっかり伝えたい時のコミュニケーション

プレゼンのトレーニングを提供していて、「話が分かりにくいと言われる」という人に多いのは、

口数が少なくて分からないのではなく、

言葉が多すぎて分からない、というケースです。 単位時間あたりに詰め込みすぎ、なんですね。

このニュースを読むと、安倍総理も、そんなことを意識されたのかもしれません。

ゆっくり口調で9400字 首相、初の施政方針演説 (1/26/07付 SANKEI-webから引用)

安倍晋三首相の初の施政方針演説は約9400字で、小泉純一郎前首相が過去5回行った施政方針演説で最も短かった昨年の約9200字と同水準に抑えた。演説時間の相場は約40分間。安倍首相の口調は「早口は聞き取りにくい」と普段から指摘されているため、ゆっくり話すことを心がけ、字数を絞ったという。

40分で9400字ですから、1分当たり235文字。

ちょうど、この施政方針演説の全文がネットにありましたので、冒頭の部分を引用します。

昨年9月、私は、総理に就任した際、安倍内閣の目指す日本の姿は、世界の人々が憧れと尊敬を抱き、子どもたちの世代が自信と誇りを持つことができるように、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた「美しい国、日本」であることを国民の皆様にお示ししました。この新しい日本の姿の実現に向け、国民の皆様とともに、一つ一つスピード感を持って結果を出していくことが重要だと考えております。引き続き、日本の明るい未来に向け、全力投球することをお約束いたします。

句読点込みで236字ですから、これで1分のペースです。

実際に時間を計りながら読んでみてもらえると分かりますが、よくニュース映像や選挙演説で、大勢の人前で話しているシーンに出てくる、一般的な速さだと感じられるかと思います。

それが、少人数を相手にしたり、取材陣に取り囲まれたりした時には、ついついペースが上がってしまいます。

そうすると、時間を埋めるために、あまり練られていない言葉や表現が出てきて、その間にまた、知らない単語やいい間違いが入ったりして、聞き手は混乱したり、違和感を持ったりします。

そういう意味でも、ペース配分、大切ですね。

さて、分かりやすく伝えるために、もう1つ効果的なのは、大切なことは「何度も繰り返す」ということです。

そのあたりも踏まえられているようです。

キーワードの頻度で目立つのは「教育」と「戦後」だ。小泉氏が最後の施政方針で「改革」を22回繰り返したのに対し、首相は「教育」を18回も連呼した。首相の昨年9月の所信表明演説(約8300字)に比べても10回増となった。「戦後」は5回で、所信表明より3回多い。「日本」は35回。首相のスローガンの一つである「戦後レジームからの脱却」への意気込みがうかがえる。

「実現」という言葉も12回、所信表明から倍増した。内閣支持率低下が続く中で、政策の実現・実行力を示し、求心力を回復したいとの思いがにじむ。

長いプレゼンの中で、聞き手が集中力を保ち続けるのは至難の業です。どんなにうまい話し手でも、聞き手全員を集中させ続けることは難しいし、聞き手の顔は話し手の方を向いていても、頭の中では違うことを考えているというのもよくあります。

そんなことから、よそ見したり大事な話を聞き逃した人にも、メッセージを届けられるように、きちんと聞いている人にはその重要度を伝えられるように、繰り返し伝えるわけですね。

1点、この演説の中で、「教育再生は内閣の最重要課題です」と言いながら、出てくる順番が遅い。これ、私は納得できません。 9つの大きなまとまりの中の後半6つめです。ちょうど中だるみのある、人が最も「ボーッ」としているタイミング。

これは果たして計画的なのかどうか。

話は、大切なことから順番にする、というのが基本です。

このあたりの具体的なプレゼンの方法については、「結果を出す!プレゼン教室」のDVDで詳しく解説しています。

今週末と来週の私自身の講演準備に、また1つ大切なことを考えることができました!

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投稿者 鶴野充茂 : 2007年01月27日 14:33