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2007年01月26日

人の背中を押すコミュニケーション

人が「こうしようかな」「どうしようかな」と決断しきれずにいる時に、そっと後押しするコミュニケーション。その1つの完成形をフィットネススタジオで見ました。

私事ですが、

年明けに人間ドックに行って、「内臓脂肪を落としなさい」「あと5kgダウンをめざして」といった指導をされ、数週間後に送られてくる「検査結果」で「精密検査を要する」ものがいくつもあったことから、いろいろ調べてようやく重い腰を上げ、近所のフィットネスクラブに行ってきたんです。

「新規入会の検討で、見学を」

私がそう言うと、「では、こちらで靴を脱いでください。私が、ご案内します」と女性のインストラクターがスムーズに導いてくれました。

見学シートに名前・住所を書いた後、「では」と順番に案内されたのですが、

まず、立ち位置が違うんです。

普通の一対一の会話だと、正面に向かい合うか、稀にコミュニケーションに長けた人などが斜め45度に立って話します。ところが、そのインストラクターは、こちらと130-150度くらいの扇型になるような、感覚的にはすぐ横で同じトレーニングマシンを見ながらのような立ち位置で話すんです。

これによって、見学者は、そのインストラクターの体ではなく、フィットネスの設備や部屋の感じを自分の目で確認します。そして横からやさしい声で、「こんな流れで、こんな風に使います。こんな効果があります」と説明を受けるのです。

人が他人に近づかれて違和感を感じる範囲をパーソナルスペースと言い、正面よりも側面や背面の方が近づかれても違和感を感じにくいのですが、まさにその彼女との間隔も、ちょうど近づきすぎないギリギリの近さです。

それでですね、説明の合間合間にマジックフレーズをはさむわけですよ。

「始めないと、何も変わらないですからね」 

「週に1-2回、15分ずつでも効果があります」 とか。

「少しずつでいいんです」なんて。

そうすると、だんだん「今、始めると決断しないと、問題は解決しないかもしれない」という気持ちになってくるんです。

基本欲求としては、「痩せたい(ねばならない)」、でも、「おいしいものもいっぱい食べたい」というのがあります。

だから、とにかくもう、運動してスッキリいきたいわけです。

「食事療法だけだと内臓脂肪は落ちにくい」という情報もあちこちで刷り込まれていますから。

でも、心のどこかで、

「入会してもなぁ~、クレジットカードで会費が引き落とされ続けて、にもかかわらず、忙しいから行かなくて、もったいないことになるのでは」という思いがある。

だから、「行かなくてもいい、決定的な理由を自分でつくりたい」という気持ちもあるわけです。

めちゃくちゃ会費が高いとか、とにかく混んでて行く気しないとか、ハードに鍛えないと効果がないとかね。

諦められるなら、諦めたい。


でも、そういう何となく期待していた言い訳を、1つ1つ、さりげなく解決されていくわけです。

「入会費21000円が、今なら99円です」(!)

「大体、これくらいの混み具合いですよ(ほんとにすいてる)。穴場的に使っていただけます」 

「お風呂だけを利用される方もいらっしゃいます」(だから気軽に使える)

当然、こちらも疑問をどんどんぶつけます。

「入会する時のモチベーションを保って、続けて、効果を出すには?」 「行かないのに毎月、会費が引き落とされて、やる気なくして辞める場合って多いですよね?」

そうすると、それぞれに答えが出てくるわけです。

「半年とか、一年間一括でお支払いいただいて、期間を決めて、きっちり行くようにする、というのも1つの方法」なんて。


それでも申し込まない理由はいくつでも思いつくわけですが、なんだか、そんなやりとりをしているうちに、「同じような迷いとやりとりを何度もするくらいなら、今、決めないと時間がもったいないな」と思うようになりました。

で、「ご入会。」

終始一貫していたのは、案内役の立ち位置です。カウンターを挟んで入会の書類を書く時以外には、決して正面に来なかった。

技術ですね。 

自分ではなく、そのスタジオをしっかり見せて、雰囲気になじませ、次に「ふらっ」とやってくる心理的なハードルを下げる効果があります。

しかも、横からささやかれることで、同じ方向を見ながら、「一緒に、目標めざしてがんばりましょう」、「私も伴走しますよ」的メッセージを送り続ける効果があります。

と、言うわけで、迷っている人に背中を押すには横から攻めてみる。オススメです。

今日も1つ、自己演出コミュニケーションの勉強ができました!

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投稿者 鶴野充茂 : 2007年01月26日 16:05