« ブルーレットおくだけ恐るべし | メイン | 時代にあわせた呼び名 »
2005年10月19日
[つるの式38]一瞬で関係を壊す表現
もし、人間関係に強くなるコツを知りたいと思ったら、逆に、こうすると確実に失敗する、という方法を覚えておいて損はありません。食べられるキノコを探す時には毒キノコも知らないと危ない、というのと同じイメージでしょうか。
人間関係が壊れるきっかけは、往々にして、ちょっとした言葉のやりとりが原因です。片一方がムッとし、もう片一方はそのことに気づきません。
でも、次の瞬間、ムッとした側の人が、感情を抑えきれずに不用意な発言をすることで、関係は破綻するのです。
ムッとした時に、我慢できるかどうかには個人差がありますが、ムッとさせるきっかけは意外と単純ですから、ぜひ記憶に留めて置かれると良いと思います。
最も分かりやすいのは、相手の価値を拒絶する言い方です。
・ 「そんなことも分からないのか」
・ 「だからお前はダメなんだ」
・ 「○○のくせに」(これはあんまり言わないか)
なんていうのがあります。
これ、上司から部下への言葉のように思うかもしれませんが、部下から上司にも同じように使えます。
実は私、これで以前に大失敗したことがあります。(だから自信を持って言えます!)
まだ、会社員時代に、ヨソから移ってきた上司の方針が見えなくて、私はちょっとイライラしていました。
3ヵ月以上も経っているのに、まだ方向性を出さない2段階上の上司に対して、何を考えているのかを聞き出そうと、業務の優先順位や部署の達成目標のイメージについて、いろんな角度から質問をし、意見を出していたのです。
「今、決めようとしているところだから」。
その上司がぼそっと言った一言に、とっさに私はこう言ってしまったのです。
「え! まだ、決まってないんですか?」
この一言で、私とその上司の関係は、壊滅的になりました。
今でもはっきり覚えています。一瞬、息が詰まったような無言の空間が広がったと思ったら、次の瞬間、上司の顔が真っ赤になって、細長い目が引きつった丸くてキツイ怒りの目になり、彼の声のボリュームが上限に振り切りました。
でも、その時、なぜその上司がそんな風に烈火のごとく怒り出したのか、正直に言って私にはまったく理解できませんでした。だって、決める立場の人が決めないで、組織が動くわけないと思っていたからです(今でもそう思います)。
ただ、正直に思っていることをそのまま言うのは、ちょっと思慮が浅かった。自分の未熟さを今になって反省しています。
数年後、何気に読んでいたトム・ピーターズの本の中に、こんな一文を見つけました。
「上司にとって、自分の判断に確信が持てないことを部下に悟られることほど怖いことはない」。
これ、ほんとです。しっかり確認しましたから。
でも、そういう言葉は無意識のうちに使って、原因が分からないまま関係が壊れてしまうことが多いんですよね。数年前の私のように。
反対に、相手との関係を強化するには、この逆にすればいいわけです。つまり、相手がいかに価値ある存在かを伝えること。
「すごいね~」「さすが○○さん!」
「お、どこのイケメンかと思ったら○○さんじゃないか」
「あの時の○○さんのアドバイスが決め手かもしれないな」
「○○さんのお陰ですよ」
まだまだありますよね。「真面目におだてる」表現だと考えてもいいかもしれません。足りないことを見つけるのは簡単ですが、充足している価値を認めるのって、意外と難しいんですよね。良いトレーニングになります。ぜひお試しください。
でも、上司との関係が崩壊する時に戻ったとして、今だったら、一体どう言うのでしょうね。
「さすが! こんなに早く、見えてきましたか!」
ちょっとわざとらしいなあ。
「じゃあ本気で取り組む英気を養うために、2-3週間、お休みをいただきます」
コレかな。
これを、つるの式コミュニケーション・メソッドでは、
「切るもつなぐも価値次第の法則」と言います。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
まとめ: つるの式(38)切るもつなぐも価値次第の法則
・人間関係に強くなるには、関係を崩壊させる条件を知るのも一つ
・どんな立場であれ相手に自分の価値を拒絶されるとダメージが大きい
・部下は無言のうちに心を閉ざし、上司は怒り狂う
・相手の価値を認めていることを伝えれば、関係は円満だ
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
09/15 宣伝会議の巻頭特集で記事を書きました。
09/13 9/21イベントをソーシャルメディアで面白くする「まめさんテレビ」
09/03 劇団四季ミュージカル「ライオンキング」を観た
09/01 日経BP主催/経営者のためのソーシャルメディア実践講座、参加者募集中
08/31 [つるの式55] とっさにコメントを求められた時の対処法は?
このblogの筆者によるメルマガにご登録ください。自分の名前で仕事をしていきたい人のための実践ビジネス対人要領&自分マーケティング講座(無料)がメールで届きます。 Powered by まぐまぐ |
投稿者 鶴野充茂 : 2005年10月19日 09:55
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kohoman.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/284
コメント
コメントしてください
サイン・インを確認しました、 さん。コメントしてください。 (サイン・アウト)
(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)