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2005年08月08日

[つるの式27]余計なことをもっと書こう

効果的に伝える上で、簡潔にまとめる、というのは大切なことです。でも、いくら事務連絡とは言え、メールで用件しか書かない人は本人が意識するかどうかは別にして、結果的に損することも多いのではないかと思うのです。

私は仕事上、よくイベントの告知をするのですが、参加申込みの手間と分かりやすさを考えて「参加したい人は『○○に参加希望』と書くだけでOK」なんていう表現で、参加者を募っています。

そうすると、5%くらいの確率なのですが、本当に『○○に参加希望』とだけを書いたメールを送ってくる人がいます。他にはホントに何も書いていない。

こういうメールを受け取るたびに、思わず体の力が抜けてしまいます。

こういう人は、別に間違ったことをしている訳ではありません。求められた指示に従って正しい反応をしています。でも、確かに反応は正しいんですが気がつかないところで、きっとチャンスも失っていると思うんですよね。

なぜかと言うと、そのメールは「人」が読んでいるからです。他のメールと同じように、順番に読み進めていて、突然現れた一言の用件のみのメールを見たら、一体、あなたならどんな風に感じるでしょうか。

私の場合は、まず「あなたは一体誰?」と思って差出人を見ます。具合の悪いことに、大体こういう人は、署名を付けていないんです。しかもメールアドレスの設定のところにフルネームがあれば良い方で、漢字で名前がつけてある確率はかなり低いんですね。仮にアルファベット表記で名前があったとしても、視覚的に名前を認識できないから記憶への定着が悪いんです。

で、なんとか「誰からのメールか」問題が解決したら、次は「一体、これは何の件だっけ?」という問いに対する答えを、記憶の中から必死に呼び起こします。「○○と書くだけでOK」なんて自分が書いたのが悪いのですが、慌てている時はよく混乱してしまいます。

そんなこともあってか、最も簡潔に書いてあるメールは、対応するのも最も後回しになります。

この私の感覚が平均的なのかは分かりませんが、こんな話があります。

某ネットベンチャーを経営する後輩は、「求人の応募フォームのコメント欄に何も書かない人は面接に呼ばない」と言いきります。書き込みの情報しか判断される材料がないのに書き込まないというのは、やる気が見られない、と。ネット上のコミュニケーションが主体の自分たちの仕事で、コレは致命傷になる、こんなところで差が出ることを認識できない人は困る、と言うのです。

また別の知り合いは、メールに書き添えた「追伸」が気に入られて有名人に直接会うことができた経験をきっかけに、今では関係を発展させたい相手にメールを書く時にはいつも本文よりも長い追伸をつけるそうで、彼曰く、この手は「かなり効果的」と最近、自信をあらわにしています。

さらに別の知り合いは、必ず書き出しを感謝の言葉で始め、次に相手を褒めてから本題に入り、最後に、近い将来の楽しい期待をまとめます。「今度、お会いする頃にはきっと○○ですね」みたいな。毎回同じような形式なのですが、これがなぜか印象に残りやすいんです。

こうした例を考えると、メールというのは単なる意思表示や事務連絡の手段だけではなくて、コミュニケーションのきっかけにもなっているのだと分かります。実際、こんなちょっとしたやりとりの中で、「会おう」と思う人が出てきたり、まだ会ったことはなくても何か気になる存在になったりするわけですからね。

仕事上のメールは基本的に必要最小限の用件でやりとりされることが多いだけに、ちょっとした個人的な「味」が入るだけで、受け取る方も感性が合えば、思わず反応してしまうのかもしれません。 

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   まとめ: つるの式(27) 一言多い独自性の法則
  
  ・ 常に簡潔が良いというわけではない
  ・ 用件しか伝えないことでチャンスを逃す場合もある
  ・ 用件を伝える時に相手の情動を刺激する工夫をしてみよう
  ・ 少し言葉を足すだけで相手の記憶に残る個性になるかもしれない

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投稿者 鶴野充茂 : 2005年08月08日 23:30

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