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2008年08月29日

[つるの式49]「上から目線」との付き合い方

 最近、気になっている言葉があります。

 「上から目線」という言葉。

 なんだか偉そうな物の言い方をする人に対して、
 自分の不快感を表現する言葉として、使われています。
 
 「その、上から目線の言い方、何とかならないの?」とか
 「彼は常に上から目線でイヤ」など、

 総じてネガティブな表現です。


 「上から目線」なんて言葉は、最近までほとんど聞きませんでしたよね。
 「 空気読めない(=KY) 」なみに、
 あるいは、一時期のスターバックスの出店なみに
 短期間で急速に広まってる感じです。


 ちょっと前までは、「上から目線」の代わりに「説得口調」くらいが
 近い意味として使われていました。

 
 確かにあまりポジティブな表現ではないけれど、
 「ある時だけ」説得口調、「仕事柄」説得口調、みたいに
 人格とはちょっと分離されたイメージのある表現でした。


 それに対して、
「上から目線」って、かなり人間の性質というか、属性みたいな
 「常に」上から目線、とか、「あの」上から目線のイヤな感じ、
 みたいに、変わらない性格・人格、
 固有のイメージのある言葉のように思いませんか?


 なんとなく切り捨てた表現で、ちょっと救いがなくて、
「痛い」と思うのは、私だけでしょうか。

 

 同様に「空気読めない」という言葉。昔は、同義語としては、

 「 天然(ボケ) 」でしたよね。
 

 今度は「天然」の方が、変わらない人間のタイプの印象がある言葉
 なんですが、何だか愛されてる感じ、しません?
 
 おそらくそれは、「天然」の人は、特別な役割を担っていたからだと
 思うんです。雰囲気を和ませるとか、リセットするという。

 どうしようもないけど、仕方ないなあ、みたいな。

 今まで「天然」扱いだったのが、急に「空気読めない」ヤツ扱い
 になるとキツイですよね。

 どこの組織にも「天然」の人、いると思うんです。今でも。いますよね。

 AB型の人くらいの比率で。いや、零合星人くらい?
 私の感覚値では、4人以上の兄弟がいる人の数よりは多いはずです。

 珍重されてたのに、急に異端児扱い。気の毒です。天然なのにね。


 
 そもそも、なぜそんなに「痛い」表現が広がるんでしょうか。
 
 自分と違うタイプの人、理解できない人との関わりが苦手になって
 人の許容範囲が狭くなっている? 付き合い下手が増えた?


 私はどちらかというと、
 人との関わりが密接になって、逆にその有難みを感じにくくなっている
 のかな、という考えなんですよね。


 最近の仕事、一人で完結するってほとんど不可能になってますよね。

 しかもプロジェクトベースで職種・人種の違う人たちとのやりとりが
 求められる。同じ日本語を喋っていても違う星から来たんやないか、
 と思うような人とのやりとりを求められます。
 
 物理的に一人で仕事していても、ネットやメールではつながっている。

 ついに私も電車の中までPC開いてメールのやりとりをするように
 なりました。常にだれかとやりとりしています。

 ネットにつなげないような満員電車では、見ず知らずの人と
 密着してますからね。もう人との関わりは避けられません。


 とにかくそうやって、ケータイに、ネットに、朝食ミーティングから
 夜中の会議、メールにブログにSNSにメッセンジャーに、と
 複数のコミュニケーション・チャンネルで、ずっと誰かとやりとりです。

 今やノイズキャンセリングのヘッドホンは、良い音を楽しむためよりも
 一人で作業に集中するために使われ、会社と自宅の間に「一人になるため」
 自習室にこもるという人も珍しくなくなってきました。
 
 「一人の時間」は、お金を払って獲得するようになっている わけです。

 で、人間、たくさんある機会は雑に使ってしまいがちですから、
 人との関わりであまり気を使わない人が増えたんじゃないか、と。

 違いますかね。

 

 さて、「上から目線」という言葉は、誰かの話し方に対して
 不快に思った人が使います。「何をえらそーに」と。
 あるいは、「見下された」と思った時に使うわけですね。


 ちょっと前まで、私自身も「なめんなよ」と思って
 トゲトゲしくなっていたことがあります。もうあちこち噛みついてました。


 あるときから、それは損だと思うようになりました


 
 仕事していると、自分自身のリニューアル、定期的なバージョンアップを
 どんどんしていかないと、しんどくなります。

 これだけ変化のスピードが速いと、いくら勉強しても追い付かないし、
 最新の情報取り入れるのだけでも大変です。
 
 それで気合いを入れてアマゾンで大量に本を買っても、
 送られてきた箱から顔を出せない本もあります。
 同じ本が何冊も本棚にささっていたりもします。


 執筆に講演にコンサルと、お客さんが喜んでくれるものを
 発信し続けるために、どんどん自分を更新していかねばなりません。


 「あの人、ズレてるよね」と思われて、
 その指摘さえ受けられないとしたら、仕事が成立しなくなりますからね。

 指導してくれる存在は、ものすごく貴重なんです。


 だから「上から目線で、ヤーネ」と言うよりも、同じ意味ですけど、
 「高い視点でステキ」と応じることに決めたんです。


 「すごいですね、もうまったく目線の高さが違いますわ」と。


 最近、仕事で会う人は、各業界で最先端行ってる人が多いんですよ。

 その才能や発想は、それこそほとんど異星人かとよく思います。
 刺激が強烈です。

 そんな人と会うと、上から目線でも何でもいいので
 いろんなこと教えてほしいと思うのですが、
 継続的な仕事の案件がないと、ぐぐっと近づくのも難しいんですね。

 みんな忙しいですから。


 昔、偉そうにされると、すぐ噛みついてたので、
 その時の報いで、あるいはそんな態度が今でもあらわれていて
 可愛がってもらえないんだとしたら、大いに反省です。


 自分リニューアルは、意識的に、本気で取り組まないと
 簡単にはいきません。

 生活雑貨のフランフランは、毎月売り場をリニューアルしている
 らしいですね。来店するたびに「新しくなった」と思って、
 また来たくなる仕掛けだそうです。

 それくらいの勢いでいきたい。

 人間、孤独な時に成長する、なんてことも言いますが、
 今、一人の時、一番作業時間が長いのがスパムメールの処理ですから、
 どうも成長しているようには感じません。
 
 私の仕事はコミュニケーションがテーマですから、
 やはり人といる時の方が学びがたくさんあります。


 世の中には、誰からでもかわいがってもらえる人、いますよね。

 年上からはもちろん、年下からでも。気軽に声をかけてもらって、
 意見もらって、協力してもらって、周りからいろいろ気にしてもらえる人。

 そういう人は、リニューアルのきっかけが多そう。

 とげとげしく当たっていくより、
 自分更新の作業に協力してもらった方がいい。真面目にそう思うんです。


 それで、自分なりに効果的なフレーズを見つけたんです。

 気持ちよく上から目線でアドバイスしてもらう表現。

 「考えたこともなかったですね!」
 「それは知りませんでした!」
 「さすがですねー!」
 「勉強になります!」

 それぞれの前に「はー」と感心した言葉を加えるとより一層効果的です。


 ぜひ、真面目に使ってみてください。
 結構楽しいですよ。

 

 これをつるの式コミュニケーション・メソッドでは、
 「上から目線で自分リニューアルの法則」と呼びます。


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  まとめ: つるの式(49)上から目線で自分リニューアルの法則
  
  ・ 上から目線、出会ったら喜ぼう
  ・ 頼んでもいないのにいろいろ教えてくれる貴重な存在になる
  ・ 噛みついて敵にするより、気持ち良く情報を提供してもらう
  ・ 「はー、勉強になります」が合言葉
  ・ するとどんどん自分リニューアルの材料が集まってくる

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投稿者 鶴野充茂 : 2008年08月29日 17:47