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2005年10月30日

[つるの式39]話が通じない時

なんでこの人、分かってくれないんだろう

仕事でそんな風に思うことってありませんか?

説明しても、説明しても、話が通じない時です。

どうしてこれだけ時間をかけて細かく丁寧に話しているのに通じないのか、
同じ言語を使っているはずなのに、どうして理解できないのか、
だんだんイライラして、しまいにコミュニケーションを諦めてストップ
してしまうということが、かつての私にはよくありました。

「んんん、もういい! もう知らん!」と。

自分の仕事は常に「提案すること」だと思っていたので、「今までとは違うこと」をいろんな人に説明・説得して回る必要がありました。そうすると、当然ながら反対する人はいるし、そもそも話を聞こうとしない人も多いわけですね。で、協力してくれない人と話をしているとストレスがどんどんたまるのです。

ところがある時、「Essential(必要不可欠)」と「Desirable(あると望ましい)」という概念を覚えて、この問題がスッと解決したんです。

Essentialというのは、最低限おさえるべきポイント。必須条件ですね。

Desirableというのは、あった方がいいけど、なくてもいい、というポイントです。

つまり、「人とわかり合うこと」って、ほとんどの仕事では、「Essential」じゃないと気づいたんです。

それまでの自分は、仕事を進めるためには、「わかり合う」必要があると思ってました。もちろん、わかり合えるに越したことはないですよ。人間関係は円滑な方がいい。

でも、仕事を進める上で「わかり合う」ことは必須条件ではありません。だから「Desirable」として処理していこうと考えるようになったのです。

仕事で必要なのは、考えて、やってみて、確かめて、もっと良い方法を見つけていくことです。とにかくどんどん進めていく必要がある。そのプロセスごとに、関係者同士すべての人がわかり合う必要はないんですね。

私の場合は、これで気が楽になりました。

微妙な差に見えますが、達成目標の捉え方に決定的な差があるのです。

以前の私は、わかり合うことと仕事を進めることが同じだと思ってました。
でも、実はこの2つは質的に違うものなんです。だから切り分けて考えるだけでとてもやりやすくなりました。


一方で、仕事の人間関係って、その良し悪しによって仕事の進み方に影響を及ぼすことも事実です。

反対されたり邪魔されると課題が増えるし、ひどいと悩みの種にもなります。


そこで私がとったアプローチは、「理屈で説得しない」という方法です。


いくら話をしても分かり合えない相手は、理屈では無理です。

ひょっとすると、異なる価値観や考え方で数十年を生きてきた人の発想をちょっと口説いたくらいで変えさせようとすることの方が無理があるのかもしれません。

もし、そうだとしたら、理屈で相手を説得せずに、相手に協力してもらう方法を考えた方がいいんじゃないか、と。

でもそんなこと、一体どうやって?


その前に、たとえば、あなたの周りにこんな人はいませんか?

・言ってることは分かるけど、協力したくない人
・言っていることには賛成できないけど、協力してもいいかなと思う人

もし思い当たる人がいたら、考えてほしいんです。


言っていることは分かるけど、協力したくない人というのは、
あなたが都合の良いように利用されるように感じるなど、その相手自体に不信感を持っていたりしませんか?


言っていることには賛成できないけど、協力してもいいかなと思う人というのは、結論は違っても自分のことは尊重しているとか、相手のこと自体を信用しているとかいう感じではありませんか?


自分が相手に対して心を開く時とは、逆に言うと相手が自分のことを受け入れてくれたと感じた時のように思うのです。だとしたら、答えがどうであれ、人として尊重してくれたかどうかがポイントではないかと。

賛成だから味方で、反対だから敵、というんじゃなくて、賛成でも反対でも味方、一緒に共通のテーマを考える同志、というスタンスです。

こういう関係になるには、 「理屈」よりも「思い」がけっこう効きます。

何をしたいのか、それはなぜなのか、どうして今なのか、をはっきり伝える。

ここで、自分のためじゃなくて、全体のためにどうしたいのか、というのがポイントです。また、「みんなこうすべき」じゃなくて、「みんなのために自分はこうしたい」の方が聞く側としては、受け入れやすいですよね。

こういう風に「思い」を聞かされると、こちらも自分のことだけじゃなくて、みんなのことを考えて判断するようになります。

そうすると、たとえ個人的には苦しい決断でも、もし「思い」に共感すれば、協力する気になるように思いませんか? だって、「みんなのために」の中には自分の存在も含まれているわけですからね。


 これをつるの式コミュニケーション・メソッドでは、
 「理屈より思いの法則」と呼びます。


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    まとめ: つるの式(39)理屈より思いの法則
  
  ・ ビジネスでは、「わかり合う」ことを目的にしなくていい
  ・ それでも「わかり合う」必要がある時には、理屈で説得しない
  ・ 効果的なのは、「みんな」が含まれた「思い」を伝えること
  ・ 思いは共有しやすく、協力にもつながりやすい

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投稿者 鶴野充茂 : 2005年10月30日 14:36

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