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コロンビア日記の部
 

プロフェッショナル・スクールの人間関係

コソボ研究

チョーヤの梅酒

ちょっと苦しいコソボ攻撃

 

プロフェッショナル・スクールの人間関係 
(2/27/99)

大使館で働き始めたとき、人間関係の距離感が分からなくて、悩んだことがあります。だって、大学の時の「なぁなぁ、ええやんか」の付き合いとちょっと違ったからです。

 で、恥ずかしながら、たまたまお客さんだった高等裁判事にそれを相談したんです。心理カウンセリングを勉強してた人間が、自分でコントロールできなくなったので、判決を求めた訳ですナ(「ここで負けたら最高裁しかない」なんて考えて)。中村判事、やさしくアドバイスしてくれましたよ。

「あんたは禁固8年」(笑)

 さて、そこそこ社会経験のある人が集まる我がSIPAでの人間関係は、実は、ちょっと大学というより、そんな社会人の付き合いに似てると思います。

 まず年齢がバラけている。国籍が違う。文化が違う。(ここでは、昔見ていた「突然ガバチョ」の話をしても誰もノッてきません、信じられますか! )
あと人種の差もある。そうすると、留学生に限った話ではありませんが、自分と違うグループに入るには、ちょっと知恵を絞らないといけないんですね。言葉の壁は言うに及ばず、呼吸の仕方が違うんですから。(すー、ふっふっ、ふー、す、すっす、すー、のリズムです。アメリカ人は。嘘やと思ってるでしょ。)

 で、ですよ、認めてもらうためにはどうすればいいか。まず、面白かったらいい。これはどこの文化でも同じです。「こいつ笑わしよんな」と思ってもらえれ
ば合格。もう特待生です。 

 しかし、これができない場合は「宣言してから実績を積んで、それを見せて行く」のが重要やと、最近分かりました。いや、こんなこと考えてるのはひょっとしたら私だけかもしれない。しかし、何らかの方法で、自分の必要性を知ってもらわないとあかんようなのですな。人間はなんぼでもおるわけです。別に私と付き
合わんでも、幸せになれるかもしれない。そこでチャンネルを替えないで見ておいてもらおうとすると、笑いとは別の次元で成果を見せていかないといけない。これは難しい。

 外国人のように、相手が訳のわからない人間の場合、本当にまず見せないとだめです。口も出ないのか、口だけなのか、その次に、実際に行動するのかどうか、そして、自分の敵か見方か。最後のステップとしては、一緒に仕事したいかどうか。相手は全部見てる。人は、交際相手を選ぶときに、知らず知らずのうちに、こういう大きな尺度で判断している気がするんです。(これは国にも言えるぞ、うんうん)

(ちなみに「超いそがしいぃ〜」を連発してる人も避けられるみたいです。一緒のチームになったら、日程調整でミーティング進まないし、仕事の分担をきっちりやってもらえないという危惧もある、というのが理由。個人社会デスネ)

それがなんとなく分かってから、パーソナルタッチで丁寧な仕事付き合いがどんな場所でもいかに大事かに気付き、それが難しいから、私はなんとか「笑わせる」方向で、物事を進めようと考えています(?)

 

 

コソボ研究 (4/6/99)

えらい事になってますね。コソボ。また戦争です。馴染みのないヒトのためにちょっとだけ説明しましょうか。よく御存知の方、間違っているところは指摘して
ください。私の解釈はこうです。

(1)状況説明
 ユーゴスラビア連邦(旧ユーゴ)が解体され、各共和国が独立していく中で、92年、セルビア、モンテネグロはユーゴスラビア連邦共和国(新ユーゴ)を設立しました。この新ユーゴの実権を握っているのがミロシェビッチ。

 このミロシェビッチが、アルバニア系住民を迫害して、国際的な非難が高まり、国連の制裁が進んでいたと同時に、NATOが「やめへんかったら、攻め込むぞ」と脅し、言うことを聞かなかったので、攻めた。それが今回の問題です。

(2)本題
 毎日CNNでもローカル・チャンネルでも、えらい騒ぎです。我がコロンビアでも緊急のパネル・ディスカッションや研究会等が開かれ、安全保障、人権、国連
などいろんな側面から話し合われています。

 さて、そんな私も(どんな私や)、毎週ライティングのクラスで社会問題を扱った記事を書かなくてはならず、今週の課題は論説なので、この件をとりあげようと、いろいろ調べてたんです。

 で、たまたま土曜、友人エリック家(苗字はシュナイダアハーン)の夕食に招かれ、総勢11人(外国人は私一人)が集まった中に、米陸軍学校の先生(でもコロンビアの同級生、安全保障を専攻、名前はマイク)がいたので、「コソボ、どない思う?」と聞いたんです。

 「失敗やで。ちょっとやりすぎや。」マイクが言いました。「ちょっと脅しすぎや。これでアメリカの敵を余計に作ることになりそうで心配してる」

 おお、反対意見か面白いな、と思ってたら、私の意見を聞かれたので、「国際法考えたら、違法やろう。NATOがやってることは、ミロシェビッチといっしょ
やん」と、前日「エコノミスト」で得たばかりの知識で言うと、家の主人、エリックが「新ユーゴはまだ国として認められてないから、あてはまらん」と言う。それも一つの考え方か。

 ただ、今回の私の着眼点は、人道支援の面です。今回の戦争で初めて、難民や、戦争における被害者が、メディアを通して大きく映し出されており、これが世論を揺さぶっているんです。湾岸戦争の時は、まるでシュミレーション・ゲームのような映像ばかりで、誰も死んでないような印象さえ与えましたが、今回は逆。ターゲット自体は世論も踏まえて、ものすごく慎重に選んで爆撃しているようですが、湾岸戦争やイラクへの爆撃と比べて、圧倒的に「被害者」に重点を置いた報道がなされている、という感じです。これによって、人道支援機関の、戦争抑止力としての役割が新たに出てきたんやないか、と言ったら、「なんや、初めていい事言うたな」とでもいいたげな顔で、皆が口をそれえて、「That's a good point!!」と言ってました。

 それにしても、いくら国際政治を勉強してるとはいえ、皆よく知ってますわ。NATO新加盟国のポーランドやチェコは、この攻撃に参加するのか?と聞いたら、「戦力ないから、実質無理や」とマイク。「忠誠心見せてみぃ、って言われへんのかな」と言うと、「力なくて、守って欲しいからNATO加盟を狙ってたのよ」とエリックの奥さん。即答です。

 旧ユーゴ最後の米大使で、現在はコロンビア大にいるジママン教授は、「攻撃しか道がなかった」と言ってますが、「政治的判断」ばかりで法律の重要性
をどんどん低下させているアメリカのやり方は、やはりマイクが心配するように、反発をどんどん招いているのではないか、と私は思ってます。(ロシアは反対、アラブも反対気味)

 「ところで、領海に入ってきた船、追っかけてたの、あれ日本人はどうとらえてるんや?報道振りと国民の反応は?」と聞かれて、うーん、と困ってしまい、とりあえず、「都知事選の方が重視されてて、今はそれどころでないみたい」と答えておきました。

 日本はコソボとかガイドラインより、花見の季節でしょう、と言う方が的確だったかと今はちょっと後悔しています。

チョーヤの梅酒 (4/26/99)

先日、パブリック・スピーチのクラスで、セールス・スピーチをやったのですが、何を売ろうか散々考えた挙句、梅酒を売ることに決め、近くの酒屋でチョーヤと月桂冠の梅酒を購入し(ニューヨークは、なんて便利なのでしょう! これで餃子の王将と吉野屋さえあれば、ずっとここにいてもいいのに)、当日、氷とコップまで用意して(なんとも投資の大きい授業参加)、スピーチをやったんです。

 で、あのボトルの形がどうも気に入らないので、同級生の意見も交えて、チョーヤに意見メールを送ったんです。そしたら、なんと返事が返ってきて、それがまた面白かったので御紹介します。

 尚、私のコメントのポイントは、
1)コスト面での苦労は理解しているが、形が悪いから、それと気付かなければ、新規カスタマーは手に取らない。もっとできればお洒落なスタイルに。
2)ラベルが、日本語なので、アメリカ人はそれと気付かないのでは?せめて、英語表示にしたほうがいいと思う。
 の2点でした。

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鶴野様

はじめまして。私は現在Californiaに駐在しております金銅と申します。この度は授業のプレゼンで弊社の梅酒を使用していただいた上に貴重なご意見も
いただきまして誠にありがとうございます。もう弊社の梅酒でプレゼンテーションをすることもないでしょうが現状を説明させていただきます。

1.なぜこのボトルを使用しているか?
  a.) 日本使用と同じボトルを使用しているから。(コスト、製造の合理化のため)
  b.)  中に梅の実を入れるために口を広くしたボトルにする必要がある。
2.なぜラベルが現在のようなラベルか?
  a.) 日本使用のラベルをベースにしたから。
  b.) 当初は日系人を対象にしたので日本人が解るように日本使用に似せた。
  c). b.) と同じ理由でこのようにすることで宣伝広告に共通のものを使用することが出来るのでコスト削減になる。

まあこのような理由があり現在のデザインとなっています。おっしゃるようにこれがプラムワイン(本当は日本の梅をプラムと呼ぶのは嫌なのでウメシュというのを広めたいのですが)だとは日系人、中華系以外は
気づかない仕様になっています。実際に現在はほとんどが日系、中華系がお客様です。ただこれからはマーケットを広げるためにアメリカ人にも販売したいので、もう少し解るようなデザインにしたいとは思っていたのですが大幅な変更は上記の理由もあり同じ製品では難しいと思われます。新製品なら可能だと思います。又、余談ですがアメリカでは酒類のラベルは簡単には変更できないようになっており新しいラベルはBATFの許可が必要となります。

 ただボトルの形が悪いと言うご意見は始めて耳にしました。私も展示会があるのでアメリカ人の評判を見ていますが興味深そうに見ていったり、空の瓶を持ち帰ったりする、感心する人もいたので好評だと思いこんでいました。聞くところに寄ると食用オイルや、スパゲッティを保存するのに使用しているそうです。ラベルの形と位置のせいで重心が高く、不格好に見えるかもしれません。ちなみに弊社製品で免税品用には縦型のラベルもあります。

もしこんなボトルが良いとかこんなラベルが良い等の意見があれば教えてくださいますようお願い申しあげます。参考にさせていただきます。 

又、プレゼンテーションで資料が必要なら送付させていただきますのでいつでもおっしゃってください。

以上、どうもありがとうございました。
08APR99
Masahiko Kondo
CHOYA UMESHU USA, INC.

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みなさんも、思ったことは、とりあえず、言ってみましょう。何か得るものがあるかもしれません。ついつい要らんことまで言うことが多い、私ですけど、これからもどうぞよろしく(?)

ちょっと苦しいコソボ攻撃 (4/26/99)

(コソボの私の着眼点は、前にも書いた通り、人道的被害の戦争抑止力としての新しい役割について、です。この点を踏まえて読んでください。)

 これだけメディアが発達すると、戦争始めたら一般市民に大きな被害が出るとすぐに国民に知られます。国民に知られると、「虐殺による被害を止めるために攻撃を開始したというのに、攻撃始めて、余計被害が広がってるやないか」と言われます。

 これは、軍事行動を継続する上で大変妨げになるので(陸軍学校の助教授に聞きました)、国民の攻撃支持が、NATOの今回の爆撃成功の鍵になります。

 はじめは、割とうまいこと、いってたんです。セルビア側によるアルバニア人迫害で、「セルビア人にレイプされた」とか、「村人が何人、至近距離で銃殺された」とか、セルビア側に不利な、ショッキングなニュースがたくさん出ました。(ただし、私には意図的にセルビア人がプラスイメージになるデータはカットされて
いたように思います。セルビア人が一方的に悪いように見えるのは、単なるイメージです。)

 しかし、1週間ほど前に、NATO軍が間違って難民の一団を爆撃し、風向きが変わってきたように思います。

 はじめ、それを報じたのは、セルビア側のTVでした。外国メディアが、その報道を取り上げ、「セルビア放送は、このように伝えています。これに応じて、NATOは、確認を急いでいます。」と伝えた次の日、NATOは、「誤って爆撃した」ことを認めました。

 一瞬、あ、「NATOの広報、しっかりしてるな」と思いました。最先端の広報では、ミスはすぐに全部認めておかないと、あとで、より悪い結果を生むことが分かっているんです。日本の場合は、こういう対応がきっと物凄く遅いんだろう、と想像してしまいました。

 まぁ、とにかく、そこまではいいんです。問題はそこから。

 先週、セルビアのメディア設備をNATOが爆撃しました。これで、セルビアやコソボ内部には外国プレスが入っていない現状から、セルビア側からの情報が
出せないことになりました。

 これは、セルビア側で、どれだけ被害が出ても、外にはほとんど伝わらないことになるわけです。不思議なことに、外国メディアは、このことをあまり突っ込んで取り上げていません。これは、報道の取り上げ方より、ソースという観点で、客観性により大きな問題が出てきます。

 それ以降、ペンタゴンやNATOは、湾岸戦争の時のように、兵器の性能と爆撃の効果について、集中的に述べるようになりました。湾岸戦争の時と同じく、これによって、外国の人々は、「誰も死んでないかのような錯覚」をもつことになります。

 もうすぐ地上軍の投入も始まるでしょう。地上軍が入れば、味方の被害も大きくなるでしょう。でも、メディアが入ってないので、被害が明らかになるまでは
ちょっと時間が稼げるかもしれません。何もかも戦略的です。

 新潮社「フォーサイト」最新号によると、NATOの攻撃に踏み切ったのは、オルブライト国務長官とゴア副大統領の強力なプッシュがあったからだとされて
います。CIA長官やペンタゴンの「リスクが大きすぎる」という言葉を押し切っての決定だったそうです。NATOは、今使っておかないと今後の存続問題に影響する、ということ。ゴアの軟弱イメージを払拭する、ということ、また、インフレ率を少し上げて、経済を安定させるために戦争は効果的(失業率とインフレ率の両方が異常に低い今のアメリカはバブルです。これを安定させるには、インフレ率を正常な状態にするしかない:これは私個人の読み)なことなどが理由かと思われます。

 ま、どちらにしても、難民がたくさん出つづけて(50万人突破)いる一方、テレビでこの事実だけを追うには、攻撃開始後1ヶ月が経過し、ちょっと目新しさがなくなってきていることもあって、最近、NATO側の陰謀説がちょこちょこ出てきており、NATO側としては、「それでもミロシェビッチが悪魔だ」とするイメージを与えつづけられるかどうかが、この戦争の行方を左右するのではないか、と私は見ています。

 アメリカが、二万人のアルバニア人難民の受け入れを決定したのも、そういう意識が強く働いている証拠でしょう。

 戦争に善悪はありません。あるのは単なる力関係です。そうして、外国人が、シュミレーション・ゲームみたいにテレビで見ている間に、罪もない一般市民が死んでいきます。 アルバニア人も、そしてセルビア人も。

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