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コロンビア日記の部
 

温暖化問題総括

コロンビアで習ったこと

授業に熱狂

ホームレス調査

 

温暖化問題総括 (12/20/98)

温暖化について、国際政治の観点からペーパーを書きました。環境問題について、全く関心のなかった私ですが、基本的な考え方を理解した上で、「これは、しかし、ごっつい資本主義に偏った論理やな」と思ってしまいましたので、その疑問も含めて少し書きます。

- 地球温暖化、原因はCO2を主因とする温暖化ガス排出の急増

- 科学的な信頼性がどれだけあるのか、は、謎。ただ放っておけば加速するという説が有力:この科学的根拠が国際会議で唯一の説得力。

- 取り締まる必要有り。世界各国全てを拘束しないと効果なし(免除国が出ると効果半減;ズルする国が出る、という国際政治論有り)。よって、発展途上国も取り込む(京都会議で提案)

- また、例外国を認めることで、規制対象外国に工場を移して活動をする国際企業がでる可能性も大

- 「なんで先進国の工業化によって排出されたガスで、温暖化されたのに、自分たちが規制されるのか」と発展途上国大反発(京都会議)

- 発展途上国は、「発展」のために「ガス排出の権利が有る」と認められる

- 他方、温暖化で被害が大きいと予想されるのは、発展途上国。

- また発展途上国の排出ガスは、主要先進国より多くなってるのが現状、地球全体として考えると、放っておけない。

- アメリカは、「発展途上国が排出カットに合意しけなければ、やらない」(京都会議)→ブエノスアイレス会議時(今年11月)に遂にサイン

- ブエノス・アイレスで解決策「CleanDevelopmentMechanism」具体化。
先進国の資金・技術支援によって、発展途上国は、工業化を進めつつ、最新技術を用いて、排出量の削減を行う方向に向かいつつある

- 排出枠取引とは、「これだけ排出してもいいよ」という免状の取引。排出カットするより安い金額でヨソ(排出カットのコストが安い国)から購入する。

と、いうのが主要ポイントでしょうか。環境のミソは、温暖化という、ピンと来ないもののために現在の経済活動をどのように規制するか、という問題で、えらい経済学者が、「ガスを出したら皆が迷惑する」という負の外部性をマーケットに取り込んだ「うまい」例らしいのですが、私はどうもしっくりこないのです。なぜか。

簡単に言うと、「そんな物事何でも金で解決するかぁ?」 という素朴な疑問です。

例えば、イラクは、商業的な損得だけ考えたら、文句を言わず査察を受け入れてたでしょう。でも、爆撃受けても守るものがあるわけです。

例えば、明日試験があっても、飲みに行ったりするでしょう。合理性だけでは判断できないものがあるわけです。

例えば、仕事途中で家に帰る人がいます。「仕事と家庭と、どっちが大事やねん」価値判断は、人それぞれです。

例えば、チャンスないの、分かっていても、マメに電話したりするでしょう。気持ちの整理がつくまでは。

かといって、やはり具体的ないい案は出てこず、ただ、毎日考え込んでいます。そういううちの部屋は、コントロールのきかない暖房のお陰で、毎日トロピカルです。 これもきっと、気候変動のせいと思って、非力な私は、温暖化国際会議の成り行きを固唾を飲んで見守っています。

 

 

コロンビアで習ったこと (12/29/98)

●試験の問題差、日米比較

日米の大学で出される試験問題の解き方には、決定的な差が有ります。問題自体は、いろんな解釈ができるもの。解釈の仕方を説明してから、問題を解くのがアメリカ式。問題の意味を特定してから、皆が同じ解き方を習うのが日本式。アメリカの場合、だから、答えだけしか書いてないと、点をもらえないことがあるんです。

●象やクジラの数がどんどん減っているのに、いっぱい食べている牛や豚がなくならないのは、なぜか?

ミクロ経済学の問題。教科書の答えは、象やクジラは公共財(持ち主の特定ができないもの)、牛や豚は個人の財産、ということです。個人のモノだと将来にわたって、それに頼っていく必要があるため、消費を管理するのに対して、公共財は、たくさん取っても怒られないから、乱獲されるわけです。(なお、アフリカの一部で、象を個人所有にしたり、捕獲を許可制にすることによって、実際、数が増加している国もあります)

知ってました?

(・・・という話を、その試験の前日に散髪に行って、以前に「ほぉ〜堺市から国連で働く人が出るっていうのはすごいですなぁ(何がどう?)」と言った、散髪屋のジュンちゃんに話したら、また妙に感心されたので、書いてみました。ちなみに、このジュンちゃんは、大阪市内出身で、堺市を馬鹿にしています。感じ悪いでしょ?)

授業に熱狂 (1/26/99)

冬休みを経て春学期の授業が始まり、1週間が経ちました。必修コースに埋め尽くされた先学期からは一転、今学期はお楽しみの授業ばかりです。ライティングの授業に、プレゼンテーションやスピーチの練習をやる授業、キャロル・グラック女史の日本文化思想史、アメリカ選挙キャンペーンの授業など、どれもリーディングや宿題の量が尋常ではないものばかりですが、全て非常に興味深い。

中でも昨日受けた選挙キャンペーンの授業は、特にエキサイトしそうです。15年以上選挙キャンペーンをやっているこの先生は、国内だけでなく、中南米やカザフスタンからも声がかかる売れっ子キャンペーン・マネージャー。多くのキャンペーンを経験しているだけでなく、データを事細かく分析して、わかりやすく解説する話力もあり、聞いていてこちらも興奮するんです。

更に、教室に溢れた50人ほどの学生に、「この中で過去にキャンペーンにかかわったことのあるヒトは?」と聞くと、過半数が手を挙げた。
「どんな選挙?」と順に聞くと、「イスラエルでネタニャフ首相の選挙の時」とか「メキシコ市長選」、「(南米)コロンビアの大統領選挙」「ブッシュの知事選」「カリフォルニア知事選」などに加え、「クリントン−ゴア」選挙に関しては、何人もいました。また、「〜選」と答えた学生に対してたびたび、「貴方はどちら側だったの?」と聞き、相手が答えると「ああ、あなた(の
方)は負けて、私(の方)が勝ったやつだ」と自分も関わっていた事を示すんです。

この授業、チームを組んで、実際の選挙プロジェクトを組み立てて行く、実践的な授業で、キャンペーンマネージャー(総括)、メディア・コンサルタント(メディア戦略)、広報担当(スピーチライターを兼ねる)、ポスター
等の製作スタッフ、会計、スケジュール担当など、それぞれ分担を決めて、2001年のニューヨーク市長選か2000年の上院(Senate)選の模擬選の形をとります。

この授業をとった一つの目的は、PRマン(私)として、PRの盛んなアメリカで最もPR競争の盛んな分野であろうと考えられる政治キャンペーンの舞台裏を見てみたいということだったのですが、概略を聞く限り、基本的には、これに限らず、今回取っているコミュニケーション関係の授業全てにおいて、大学で学んだ心理学(中でも認知心理と消費者心理)が、応用されているように感じ、これまで枝分かれしていた骨組みに、なんとなく肉がつきだしたなぁと、なんとなく全てが合わさってお互いにうまく自分の中で消化され始めている心地よさをおぼえています。

それにしても、コロンビアという大学は、私のような素人でも、ライティングは、ニューヨークタイムズの編集を10年以上していた教授から、プレゼンテーションは、米軍アカデミーで政治とスピーチを教えている「キャプテン」から、政治キャンペーンは、やはり現場で長期間活躍している先生と、数多くのゲストスピーカーから、日本関係は、御存知Gerald Curtis、Carol Gluck両教授等からナマで「現在の」話が聞ける、それに加えて、これまた講師陣に負けない経験をしてきた他の学生たちと戯れ、いや、学び合える、大変結構な大学です。

これで、もうちょっと授業料が安かったら、言う事ないのに。

ホームレス調査 (2/14/99)

先日、授業でホームレスの担当になり(ホームレスになる担当ではありません)、プレゼンテーションをするため調査をしました。東京とニューヨークのホームレス比較をしようと思い、データを集めたんです。

知ってますか、皆さん、ホームレスのことって?

実にいろんな方々に聞いて(感謝です)、どこにどんな情報があるのか調べました。

東京都庁にも電話しました。 このやりとりは結構楽しかった。一回目のトライ、昼休み。二回目、福祉局保護課まで繋がる。しかし、「ホームレス担当は二名いるのですが、どちらも席を外しています。折り返しお電話致しますので、電話番号をどうぞ」と愛想のいいお姉さん。「ニューヨークからなんですが」といいつつ電話番号を残す。

さすが日本や、きっちりしてるやん、と思いつつ、どれだけ待っても電話なし。

三回目、しびれをきらしてもう一度トライ。担当者をゲット。「ホームレス人口とか年齢分布等のデータが欲しいんです」と告げると何に使うの? とか、オタクどなた?に始まる質問攻めを越えて、「概数ならあります。」

聞けば、それ以外は特に調査してないらしい。 (ほしたら、そこまで細かく、しかも怪訝そうな声で、こちらの身元を確かめなくてもいいでしょうに)

FAXしてもらえることになったので、電話番号を言うと、「あ〜、うちの課から海外にFAXできるのかなァ〜、う〜ん・・・(沈黙)」

苦労したのでしょう、「都議会局調査部」というヘッダーのFAXから、3時間後にようやく一枚のFAXが届きました。

それによると「23区内の路上生活者概数調査」と題する調査が、毎年2月と8月にされているんです。最新データでは、98年8月時点で約4300人の「路上生活者」が都区内にいる。そして、そのうち営団・JR東日本・都営交通等の駅構内に150名。

ちなみに新宿駅のホームレス撤去が行われた94年と火事のあった96年には、それぞれ前の年にいた「駅構内」在住のホームレスの数が半分になっています。その人々は、どこにいったか。94年にホームレス用のシェルターができたそうですから、多くはそこに。火事のあとは、「区立の公園」で人数が大きく増加しています。

この他に、社会政策学会というところで、ホームレス研究をしている学者を探し、本人に直接コンタクトしてどこに情報があるか等聞きました。今後、ホームレス調査をする機会のある方の為に(どれだけ多いか謎
ですが)、東京都社会福祉協議会福祉情報資料室(電話:03 3268 7171)に比較的多く資料があるそうです。御利用ください。

他方、警察官に聞いたら、統計とは違った面白いエピソードが聞けました。話によると、東京駅近くに有名なホームレスの人がいるらしく、いつもガラクタの山になったリアカーを引きながら、歩いているらしいのですが、ある時、そのガラクタの山の中に日本刀があることを発見され、銃刀法違反で逮捕されたと言います。しばらくして無事釈放された時、彼は、ひとこと言ったそうです。「あ〜久しぶりに御馳走食べた」

情報を得るということは、大変なことです。

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